第三話
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。目を閉じている。ああ、そういやキスの時は眼を閉じないとね。そう思い、俺も眼をとじた。
ああ、これが彼女の血の味なんだ。なんだ俺のとかわんないな。普通じゃん。そんなことも考えたりして。
少女は口づけたまま俺の顔を上に向けてくれる。彼女の血を嚥下しやすいようにしてくれているわけだ。……彼女の血を飲まなきゃいけないことを思いだし、がんばって飲み込もうとする。この有様でなければ何のことはない動作なんだけど、その飲み込むという動作をするだけでもかなり苦戦した。それでもおそらく少女の口に含まれていたであろう血液は、なんとかすべて飲み込んだはず。胃の中へと暖かいものがゆっくりと流れ込んでいくのが実感できた。
確認したのか、彼女も僕から唇をゆっくりと離していく。俺は目を開いた。見えた光景は、お互いの唾液が絡み合って糸を引いているところ。なんだか凄くエッチいよね。
俺から離れた少女は服の袖で唇を拭った。少し恥ずかしそうだ。
……なんやかんやと想いが巡るが特に体がには変化がない。少し眠くて遠くに行きそうになる感覚だけが収まった程度。全然駄目じゃんって言おうとした。
ズン!
まさにそんな擬音が相応しい衝撃が来た。いきなりのビッグウエーブが背後から俺を突き飛ばしてくるような感覚だ。体は一ミリも動いていないのに、なんだこれは凄い衝撃だ。同時に全身の毛穴が開いて髪の毛とか全ての体毛が逆立つような感覚。
何もしていないのに鼓動が高鳴る。どくんどくん。それがドンドンという音になり、そのリズムもどんどんと小刻みになっていく。それに合わせるかのように体が熱くなってきた。特に怪我をしている箇所が熱いというか燃えているように感じるレベルになっている。ふと思えばずっと感じていたはずの痛みというものが消えていた。
出血は完全に止まり、動かなかった四肢も意識すれば動かせるようになっている。顔も動かせるから自分の体の状態も把握できる。
へし折られて骨が飛び出し、不自然な方向に曲がっていた右手がまるで風船が膨らむように形を変え、元の形へと戻っていく。そしてついには完全に元通りになりおまけに動かせるようになった。左頬から耳にかけて焼けるように熱く感じる。そっと触ろうとする。
「触ったら駄目。今、お前の耳と頬は再生をしようとしてるわ。触ったら変な形になるわよ」
不意に少女に指摘され、動かそうとした左手を慌てて止めた。
まあ治るんならそれでいいや。
俺は醜く切り裂かれた腹部を見た……。腹部は焼けるような高熱を持ち続けたままだ。傷口と少しはみ出した腸の一部を見て気持ち悪くなる。傷口はまるでオキシドール消毒された箇所のように白い小さな泡を吹きながら、徐々に塞がっているように見える。
俺は慌ててはみ出した腸を腹の中へと押し込んだ。これで大
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