第二話
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も死角はない」
満足そうに言うと、もはや俺に興味が無くしたかのように立ち上がり、三つ叉になった性器を扇風機のように回し、ケツの穴から生えた5本の触手を誇らしげに立ち上がらせ、如月は教室の窓から飛んだ。
ほんのしばしの空白。
とりあえずの地獄巡りからは解放されたようだ。
しかし、もう俺が死ぬのは時間の問題だった。体からはみ出した内蔵、ほじくり出された左眼、グシャグシャにされた右手、引きちぎられたままの右脚。これで良く生きていられるもんだ。……まあもうすぐ死ぬけど。
結局、日向寧々を護ることもできなかったし、敵である如月に一矢報いることも結局できず、このまま無念のまま死んでしまうことは耐えられなかった。でもどうにもならない。これが運命ってやつか。如月の思うような泣きわめいて命乞するところを見せなかっただけでも奴に一矢報いたということで満足するしかないんだな。世の中には俺より不幸な終焉を迎える人間が数え切れないほどいるんだから。
次第に視界がぼやけてくる。痛みはまだまだハッキリとしているがそれ以上に俺の体の機能がどんどん停止していってるんだろうな。だからなんだか我慢できる。ぼやけた視界の中に日向の亡骸がある。
「ごめんな、寧々。怖い想いをしただろう。助けてやれなくてごめん。お前の仇を討ってやろうって思ったけど、ぜんぜん駄目だったよ。弱っちくてごめんな。でも俺もそっちにいくから、また謝るわ」
死んでいく時って寒気も感じるもんなんだな……。
俺は目を閉じようとした。だって目を開いたまま死んでるのって結構発見者が怖がるだろ。
再び教室の引き戸が開かれる音がした。
閉じゆく俺の目が再び開かれ、ゆるゆるとそちらを向こうとする。また如月が帰ってきたのかよ。
「ずいぶんと酷いやられかたね……」
声の主を求めて俺の視線は彷徨う。
誰かが立っているのは分かった。それは如月ではなかった。
??それは、少女だった??
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