第二話
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ていると思っていた如月の顔とはほど遠い面容に少し恐怖する。奴は未だに突き刺さったままボールペンを左眼から引き抜いた。
じゅるるっと糸を引く。それを舌でベロリと舐めて嗤った。
全身に悪寒が走る。
次の刹那、奴は俺の左耳を鷲掴みにすると、無造作に引きちぎった。皮膚と肉が剥がれる聞き慣れない嫌な音がし、顔中に痛みを感じた。だけどその痛みは今俺が感じている痛みと比べれば小さなものだったので悲鳴も上げなかった。奴の手には俺の左耳とおまけでくっついていった顔の皮膚が握りしめられている。どうやら左頬の皮膚もだいぶ持って行かれたようだ。チリチリとした痛みを感じる。
如月は俺の耳を俺に見せつけるようにすると、そのまま口に含んだ。グチャグチャとかみ砕きごくりと飲み込む。
サヨナラ俺の左耳。今までありがとう。俺の左耳はロストした。失ったものは戻らないんだ。
でも泣いたりしない。目の前のバケモノが望むような死に方はしてやらない。最後まで意地を通し最後の最後は舌を噛み切ってでもして死んでやる。それが最後の意地だって思ってる。
「泣きわめいてよ、月人君。そうしたら助けてあげるかもしれないよ」
優しくささやくバケモノ。
「なんども、いわすなよ、くそやろう。だれが、いのちごい、なんかするか」
本当は泣きそうだし死にそうだしシャレにならないくらい痛いけど我慢してる。もうちょっと格好良い台詞を決めてやろうとした時、奴の5本の触手の一本が俺の口に押し込まれた。ぬるぬるした触手は喉の奥の方にまで押し込まれ、俺は喋る事も喚くこともでき無くされてしまった。しまったと思ったが手遅れだった。そろそろ舌を噛み切ろうと思っていたのに先手を打たれた。これで俺は奴の解体ショーの餌食になることが決まったようだ。潮時を読み間違えたな、こりゃ。
「こっから酷いよ〜。残念だったね。死に逃げは許さないモンね。えへらへら」
如月は左手に持ったボールペンを右手に持ち直した。残された触手のうちの二本が体に近づいたかと思うと俺の上着を引きちぎった。
むき出しになった俺の腹部に奴はボールペンを這わす。こそばゆい感触で俺は身じろぎしてしまう。そしてツーっと黒い線が俺の腹に横一文字に引かれた。
「この線に沿っておなかを切り開くんだ。生きたままだから結構痛いと思うよ。切腹|《ハラキリ》だね。侍だね。月人君にピッタリだ」
ボールペンが左腹部に当てられる。ゆっくりとゆっくりとそのペン先は俺の腹に押しつけられていく。逃げようにも逃げられない。いつの間にか奴のケツから生えた触手が俺の体をガッシリと押さえつけていた。背中は壁にべったりだからどうしようもない。腹筋で抵抗しようにもそんなの無理。
ズブズブと腹の肉に食い込んでくるのが分かった。そして激痛。しかし声は上げられな
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