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異界の王女と人狼の騎士
第一話
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の体をまさぐっているようだ。
 何かを喚いていた日向の口からは悲鳴と喘ぎ声が交互に発せられる。

「やめろ、やめろ、やめてくれ」
 俺の声は空しく響くだけだ。必死にその残虐行為を止めようと這って行こうとするが、相変わらず体が動かない。
 混乱と恐怖と絶望と激痛の中、ただ如月のうめき声と日向の喘ぎ声が教室に響いていた。
 永遠に続くかと思われるような地獄絵図。俺は自分の好きな女が、そして親友の女が得体の知れない化け物に犯されているというのに何もできず、ただ見ているしかなかった。
 クソクソクソ! なんで動かないんだ。

 如月の残された一本の触手がゆるゆると日向の体に迫り、動いたと思うと彼女の口から絶叫が発せられた。ブニュブニュブニュと何かがめり込んでいく音が聞こえる。日向は眼をこれ以上開けないくらい大きく見開き眼球が飛び出さんばかりの状態になる。口は大きく開かれ、歯肉がむき出しになる。同時に如月が腰を激しく振り始めた。
 もはや悲鳴としか思えない絶叫。そして「うめめめ、げぼ」っと音がしたと思うと、彼女の口から触手が顔を出した。
「うんおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ」如月が吠える。触手からは白濁した液体が撒き散らかされ、日向の耳鼻口眼のすべての穴からは血の混じった同様の液体があふれ出した。その声は教室を響かせる程のものだった。
 そして果てたかのように触手でとらえた日向は投げ飛ばされ、床をバウンドして壁にぶつかって制止した。
 如月も、日向も動かない。特に日向は顔や足が妙な角度にねじ曲ったままピクリとも動かない。

「ね、寧々……」
 俺は口をパクパクさせ、声を出そうとするがそれは無駄な努力だった。


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