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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第154話 孫堅参上
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た。正宗の放つただならぬ気配に孫堅達は直ぐに正宗が只者でないと感じ取った様子だ。

「ちょって待て! ご老体、私は何もしていないではないか? 劉将軍と申されたか? 私はご老体に何もしてはいない。怪しい者でもない!」

 孫堅は正宗に慌てて弁明した。彼女も南陽郡について早々に面倒を起こしたいとは思っていないのだろう。

「では何をしていたというのだ?」

 正宗は詰問するように孫堅に言った。

「私は宛城にいる娘を探している。老婆には娘の居場所を教えてもらおうとしていただけだ。決して脅してなどいない。私は長沙郡太守・孫文台。貴殿の名をお聞かせ願えないか?」

 孫堅は堂々と名乗った。彼女は正宗に敬意を払う口調だった。老婆が正宗のことを「劉将軍」と呼んでいたので少なくとも官職のあるものと考えたのだろう。また、蔡瑁討伐の檄文の件もあり、正宗のことを車騎将軍配下の将軍と考えた可能性がある。
 孫堅の名乗りを聞いた正宗はあからさまに嫌そうな表情に変わった。孫堅達は正宗の表情の変化に気づくが何も言わず、正宗の反応を待っていた。正宗はしばし沈黙していたが観念したように口を開く。

「余は劉正礼。車騎将軍にして冀州牧、爵位は清河王である」

 正宗は威厳に満ちた態度で孫堅に口上を述べた。孫堅達は目を丸くして彼のことを見つめていたが突然笑いだした。

「こんな下町に供も連れずに車騎将軍ともあろう者が来るわけがないだろ。若造、冗談はやめておくれ」
「本当よね。私達を田舎者と思って騙そうというつもりだろうけどそうはいかないわよ」
「坊主、悪い冗談はよすのじゃ」

 孫堅達は正宗を馬鹿にするように言った。彼女の態度に正宗は無表情で沈黙していた。双天戟を握る彼の手に力が篭もるのがわかる。

「罰当たりがっ! この方は正真正銘車騎将軍様だ。太守様の兄なんじゃぞ」

 老婆は正宗の後から孫堅のことをなじった。彼女は先程までと一転して孫堅に対して強きだった。正宗がいるので安心しきっているのが孫堅達にもわかった。それは彼女達の目の前にいる男がかなりの腕前であることを意味していた。

「おばあさん、ここは私に任せて逃げてくれ」
「おまいさんだけ残して逃げるなんて」

 老婆は正宗一人を孫堅達の元に置いて行くのが気が引けるようだった。彼女の中では孫堅は恐怖の対象なのだろう。正宗が強いと分かっていても、孫堅と互角に渡り合えるとは限らないと考えているのかもしれない。彼女から正宗のことを心配していることが見て取れた。

「心配しなくても大丈夫。この私がこんな野蛮な連中に遅れを取るわけないだろ」

 正宗は優しく微笑み老婆に逃げるように諭した。老婆は逃げる間も時々正宗の方を向いていた。

「若造、折角の情報源をどうしてくれるんだ
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