第154話 孫堅参上
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かった。
「私、今日は山賊討伐に行っていたんですけど」
孫策は非難めいた視線を孫堅に向けた。
「ああ五月蝿い! 分かった。分かったよ。好きにしな。でも困ったね。誰を留守番にするかね」
孫策にごねられ孫堅は折れたが、今度は留守を誰に任すかで困っているようだ。
「小蓮でいいんじゃない。あの子遊びに出かけているみたいだし」
孫策は人ごとのように笑顔で言った。
「小蓮では留守番は無理ではないですかな」
黄蓋が孫策の提案に懸念を示した。
「じゃあ、祭が留守番すればいいんじゃない」
「何でわしが! 策殿が留守番すればいいじゃろ」
「何で私なのよ!」
孫策と黄蓋は留守番の話で揉めはじめた。
「静かにおし!」
孫堅は一括して黄蓋と孫策を黙らせた。二人は彼女に視線を向ける。
「ここは小蓮に任せようと思う。可愛い子には旅をさせよというじゃないか」
「本気なのですか? わしは小蓮が面倒事を起こさないかと心配なのですが」
黄蓋が孫尚香に留守番を任せることが不安なようだ。彼女の様子から以前にも孫尚香に留守番を任せ面倒なことになったかもしれない。
「じゃあ、祭は留守番だな」
「そうね。祭は留守番お願い」
孫堅と孫策は口を揃えて祭に言った。
「なんでわしが留守番なのです!」
黄蓋は孫堅と孫策に抗議した。しかし、二人とも彼女の意見に耳を貸す様子がないことを感じ取ったのか観念したように「小蓮に任せましょう」と小さい声で言った。
「よし、これで決まった。兵と武器と兵糧の準備は二人に任せたぞ!」
三人は各々の担当を割り振り執務室を出て行ったが、黄蓋だけは不安気な様子だった。
南陽郡宛城――
孫堅一行は川を船で上り南郡、江夏郡、南陽郡へと二週間ほどの工程で宛城に到着した。彼女達は兵五十名を連れ大通りを進んでいた。
「祭、蓮華はどこの宿に滞在しているか知っているかい?」
宛てどもなく歩く孫堅は横にいる黄蓋に声を掛けた。
「そういえば海陵酒家という店に世話になると便りがありましたな。便りは一ヶ月前ですから、海陵酒家という店にいるかどうかわかりませんが」
黄蓋は孫堅に自信なさ気に言った。
「それで十分だろ。とりあえず海陵酒家という店に行くか」
孫堅は笑いながら黄蓋に返事し、街の人に話を聞きながら海陵酒家を探したが中々見つからなかった。孫堅一行は途方に暮れながらも、まだ足を踏み入れていない下町にまで足を運び海陵酒家の情報を求め聞き込みをはじめた。明らかに余所者である孫堅一行に下町の者達は不信の視線を向けていたが、人の良さそうな老婆が彼女達に声を掛けてきた。
「あんた達何か用かね?」
「ご
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