第154話 孫堅参上
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彼女達の間でも蔡瑁の評判はよくないことが窺える。
「黄忠は車騎将軍に処刑されたのかい?」
孫堅は気分悪そうに孫策に聞いた。黄蓋も何も言わず沈黙した。人質を取られたとはいえ朝廷の重臣である車騎将軍を殺そうとしたのだ。処刑が妥当といえた。二人も頭では理解しているが黄忠の境遇に同情しているのだろう。そして、黄忠の娘のことも。
「ねえねえ。黄忠の娘はどうなったと思う? 知りたくない?」
孫策は両目を爛々と輝かせて二人を見ていた。孫堅と黄蓋は怒り孫策のことを睨みつけた。孫策は二人の反応に動揺した。
「えっ!? 二人ともどうしたの? そんな怖い目で見ないでよ」
孫策は目の前の二人の剣幕に引いて乾いた笑いをした。
「何がどうしただ! 私はお前をそんな薄情な娘に育てた覚えは無い!」
孫堅は孫策を罵倒した。
「策殿がこんな冷血漢だったとは悲しいですぞ!」
黄蓋も孫堅同様に孫策を非難した。孫策は二人の態度に呆けていた。
「二人とも勘違いしていない? 黄忠も彼女の娘も無罪放免なんだけど」
二人とも孫策の話に言葉を失っていた。
「馬鹿な!?」
しばらく沈黙が続いたが黄蓋が驚きの声を上げた。
「私もね。黄忠が死罪を免れるなんてありえないと思ったんだけど。車騎将軍自ら兵を率いて黄忠の娘を救い出し黄忠の罪も許したそうよ」
今度は孫堅と黄蓋はきょとんした顔で孫策の話を聞いていた。
「でも黄忠の方は無条件に無罪放免じゃなくて蔡瑁討伐に従軍することが条件らしい。それでも破格の処遇よね」
孫策は嬉しそうに言っていた。
「黄忠は脅されて車騎将軍の命を狙ったとはいえ。よく車騎将軍は黄忠を許したな」
孫堅は正宗の判断が理解できずにいた。彼女が正宗の立場なら迷わず黄忠を殺したからだろう。ただ、彼女の感覚は特別とはいえない。黄忠の行為を考えれば情状酌量を酌もうと親娘共々公開処刑になるのが一般的だったからだ。正宗の処断は寛大といえた。
「文台様、難しいことは考えずともよいではありませんか? 黄忠とその娘が恩赦を受けたことを喜びましょう。黄忠は敵とはいえなかなかの人物。車騎将軍は黄忠を見て殺すのが惜しいと思ったのでしょう」
黄蓋は気持ちのよい笑い声を上げて孫堅に言った。
「それにしても車騎将軍の対応があまりに迅速すぎないか?」
「何が?」
孫策は孫堅の意図が分からず聞き返した。
「いくら黄忠が人質を取られていることを告白したとしても、それからでは人質を取り戻すのに間に合うかどうか? まるで襲撃者が黄忠と見抜き、人質のこともある程度把握していたようにしか思えないぞ」
「まさか車騎将軍が黄忠の娘を誘拐して自作自演したとか?」
孫策
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