第154話 孫堅参上
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もなかったように孫策に声をかけた。
「おお! 策殿、どうされたのじゃ。今日は山賊討伐で夕方帰る予定ではなかったですかな?」
黄蓋はぎこちない笑顔で孫策に声をかけた。
孫策は二人の態度に頬をひくつかせる。
「自分達だけ南陽郡に遊び行くのずるいじゃない!」
「遊びとは失敬だな。私達は蔡瑁討伐の檄文の真偽を探りに南陽郡に向かうのだ。留守を頼むぞ!」
孫堅は大きい胸を強調するかのように胸を張り、威厳ある態度で孫策に指示を出すと執務室を後にしようとした。祭は苦笑いをしつつ、右手で詫びる仕草をしながら孫堅の後を追おうとした。
「ちょっと待て――!」
孫策は怒鳴りながら孫堅の首元を掴んだ。
「母親に何て口の聞き方するんだい! 雪蓮、さっさと離せ!」
孫堅は孫策に首元を捕まれながらも孫策に抗議した。
「蔡瑁討伐の檄文って。街で噂になっているやつでしょ」
「街で? もう城下でも噂になっているのかい?」
先ほどまで暴れていた孫堅は孫策の拘束を乱暴に振りほどくと真剣な顔で孫策に質問した。
「城下というか。韓当のお店で噂になっていたわね。あの酒場は流れの行商人がよく利用しているから」
「流れ者の間で噂になっているということは眉唾ものの話という訳でもないな。あいつらは情報の嗅覚だけは鋭いから。やはり一度南陽郡に出向いたほうがいいな。しかし、もし噂が真実なら私に檄文が届いていないのが府に落ちない」
「つい忘れたんじゃない」
孫策は気にした様子もなく孫堅に言った。
「つい忘れるなんてあるわけないだろ!」
孫堅は孫策の言葉に苛立っていた。
「故意に檄文を送るのを避けたのやもしれませんな」
黄蓋の言葉に孫堅はこめかみに青筋を立てた。
「それって母上が車騎将軍に嫌われているとか?」
孫策は腹を抱えながら笑い声を上げていた。
「車騎将軍ともあろう者が、こんな陰険な扱いをするのかい!」
孫堅は怒りを隠さずに愚痴った。
「文台様、そう決まった訳ではないですぞ」
「そうだね」
孫堅は釈然としない様子だったが気持ちを落ち着かせていた。
「しかし、檄文の件気になるね」
孫堅は当初は物見遊山で南陽郡に向かう気持ちと蔡瑁討伐の檄文の真偽を確かめる気持ちが半々のようだったが、今では後者が彼女の心中を占めているように見えた。
「ところで雪蓮。随分早い帰りだね」
孫堅は孫策を見つめ突然何か気づいたように話題を変えた。
「山賊が手ごたえ無さ過ぎて、予定より早く帰ってきたの。それで一杯引っ掛けに酒場に寄ったら、たまたま南陽郡から来た行商人が話しているのを聞いて、内容に驚いて急いで帰ってきたわけ」
孫策は孫堅と黄蓋
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