第154話 孫堅参上
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実でも孫堅の子である孫策、孫権は出自故に呉の支配で苦労した。彼女は心の隅にある負い目から正宗へ劣等感を感じたのかもしれない。
「文台様、どうされますか?」
孫堅は黄蓋の問いかけに返事せず沈黙していた。
「南陽郡へ行く」
孫堅は短く答えた。先程の怒りは消えていたが、不機嫌そうだった。
「ここで悩んだところで何も変わらない。直接、南陽郡に出向き真偽を明らかにする」
「南陽郡なら蓮華殿が現在滞在しているはず。わざわざ文台様が出向かずとも蓮華殿と連絡を取ればよろしいではありませんか? 虚報であった場合、無駄足になりますぞ」
「無駄足だろうと構わないさ。南陽郡へは機会があれば出向こうと思っていた。袁公路の治世に興味があるからね」
孫堅はもう機嫌を直したのか表情に笑みが見られた。黄蓋も孫堅の様子にほっとしているようだ。
「一度、蓮華殿と連絡を取りましょう」
黄蓋は孫堅が南陽郡に向かうことに賛成していないようだ。彼女の態度に孫堅は憮然とした。
「何故、私が南陽郡に行くのに反対するんだい」
「別に反対ではありません。ただ」
黄蓋は言葉に窮し孫堅を見た。彼女の表情から理由はあるが孫堅には面と向かって言いづらいことなのだろう。
「そうだ。祭も一緒に着いて来ないかい?」
孫堅は黄蓋の心中はお見通しなのか満面の笑顔で黄蓋を誘った。
「よいのですか!?」
黄蓋は孫堅の誘いに満面の笑顔になる。
「南陽郡に行ったら美味しいお酒を探さないとね」
「そうですな」
黄蓋と孫堅は意気揚々として酒の話に花を咲かせていた。
「しかし、留守番は誰に任せましょうか?」
黄蓋は神妙な顔で孫堅に聞いた。彼女が先程孫堅に言おうとして躊躇したことはこのことなのだろう。もし、彼女が留守になれば、孫堅がやるべき政務の代行を黄蓋が代わってやることになるからだ。
「雪蓮でいいだろ。あの子夕方には戻ってくるはずだから。さっとと準備をして城を立とう。祭、兵は五十位で十分だろ。後のことは南陽郡についてから考えればいいさ」
「文台様、策殿への書き置きお願いしますぞ」
黄蓋に言われ孫堅は机の箸においている竹巻を取り筆を走らせた。
「これでよし! 祭、さっさと行くぞ!」
孫堅は快活に笑いながら行った。彼女と黄蓋の様子は旅行にでも出向く雰囲気だった。
「母上。祭。聞いているんですけど」
どこからともなく彼女の娘・孫策の静かな声が聞こえてきた。孫堅は肩を堅くして周囲を見渡した。黄蓋も彼女と同じように見渡す。二人の視線は執務室の入り口で止まった。そこには顔を伏せて立つ孫策がいた。
「雪蓮、そんなとこに居たのか。びっくりさせるんじゃない」
孫堅は何事
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