第154話 孫堅参上
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詫びいたします」
孫権は正宗に頭を下げた。しかし、正宗は気が収まらないのか孫堅を睨みつけていた。
孫堅は正宗と孫権のやりとりを見て、正宗が車騎将軍であると気づいたようだ。彼女はバツが悪そうに正宗を見たが、このままではまずいと彼女は思ったのだろう。彼女はそそくさと立ち上がり正宗の面前にふらつく足取りで進み出ると片膝を折り拱手した。
「孫文台、どういうつもだ?」
「車騎将軍と知らず数々の非礼お許しください」
孫堅の拱手する姿は先程までの印象とは違った。軍人畑が長いこともあり、整然とした身のこなしだった。正宗は憮然とした表情で拱手する孫堅を見た。
「母は清河王は御顔を知りません。知らぬとはいえ許される罪ではございません。ですが、どうか清河王。寛大なご処置をいただきたく存じます」
孫権は正宗に両膝を着き正宗に必死に嘆願した。正宗は舌打ちをし孫堅に向けた双天戟の矛を下げた。孫権は安堵した表情を浮かべていた。
正宗が矛を渋々収めたのは自らにも非があると感じたからだろう。孫堅が正宗と指摘したことは間違っていない。しかし、それを差し引いても孫堅が正宗に剣を向けたことは許されることではない。
「孫文台、お前の非礼を許すことはできんな。お前はどう償うつもりだ?」
正宗は先程の武人然とした雰囲気から一転して政治家の顔をしていた。孫堅も正宗の言葉の真意を理解して顔を伏せ拱手した。
「私は太守でございますが、武人にございます。私に戦場にて汚名を注ぐ機会をいただく存じます」
「戦場だと? 甘興覇はもうお前のところに着いていたのか? 随分と早いな。長沙まで二週間はかかるであろう」
正宗は孫堅のことを訝しんでいた。孫堅は「えっ?」とたじろいだ表情を浮かべていた。
「一週間前に思春が長沙郡に清河王から文を母上に届けに向かったのだけど?」
孫権は孫堅の様子に気づき、それとなく孫堅に声を掛けた。正宗は急に孫堅を不審げな目つきで見た。
「車騎将軍からの文確かに受け取っております。この孫文台、是非に蔡瑁討伐に参加したく存じます」
孫堅は顔を伏せ正宗に拱手して蔡瑁討伐に加勢する旨を表明した。しかし、正宗は孫堅に対して不信感は消えていないようだった。
「清河王、母はこう申しております。きっと清河王のために励み戦功を上げましょう」
孫権は孫堅の様子が少し変と感じたのか、わざとらしい笑顔で正宗に話しかけてきた。正宗は孫権をしばし凝視していた。
「ところで甘興覇はどこだ? 甘興覇がお前達の元に文を届けているなら、甘興覇も同行しているのではないか?」
孫権と孫堅は正宗の言葉に体を固くした。孫権は視線を孫堅に向けるが、孫堅は拱手したまま沈黙していた。
「甘興覇はどうしたのだ?」
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