第154話 孫堅参上
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情から正宗への手加減は微塵も感じられなかった。目の前の獲物を狩る虎がそこにいた。しかし、正宗は微塵も動揺することなく、孫堅との間合いを詰め攻撃を繰り出す。
正宗の激しい双天戟による連撃に阻まれ、孫堅は正宗に一太刀を浴びせることもできずにいた。彼女の獲物は剣である以上、戟を操る正宗との間合いの差が決定的である。特に正宗と孫堅の実力差があればあるほど、この間合の差は孫堅にとって歩が悪くなる。孫堅も正宗との実力差を実感したのか、彼女の表情に焦りの色が見えはじめていた。
正宗と孫堅の激しい戦闘を孫策と黄蓋は固唾を飲んで見ていた。孫堅配下の兵士達も圧される孫堅の姿に動揺している様子だった。
「なんなのあいつ」
孫策は正宗の圧倒的な武技に動揺しているようだ。それは黄蓋も同様だった。
「あの坊主何者なんじゃ。文台様が手球に取られている。信じられん」
孫堅配下の兵士達に至ってはどうすればいいのか浮足だっていた。
その後、正宗と孫堅は何十合も撃ちあった。正宗の圧倒的な蹂躙で孫堅は肩で息をする状態だった。対して正宗は息を少しも乱していなかった。
「どうした。歳を取り過ぎると体力が落ちるのか? そろそろ引退してはどうだ?」
正宗は陰険な笑みを浮かべ孫堅に言った。孫堅は正宗の言葉を聞き額に青筋を立てるも叫ぶ気力もないのか、正宗のことを苦々しく見ていた。
「若造、好きにさせていればいい気になりやがって!」
正宗の安い挑発に乗って孫堅は南海覇王を横に構え正宗の一刀を浴びせようと襲いかかる。既に孫堅の瞬発力は正宗との攻防で落ちているため動きに切れがない。正宗の目から感情が消え殺意だけを孫堅に向けていた。その様は狼がいたぶった獲物に止めを刺さそうとする姿に見えた。孫策は厳しい表情に変わり黄蓋を見た。
「祭、あの男に矢を放って動きを封じて! その間に母上を止めるから」
このまま孫堅が正宗に斬りかかったら孫堅が徒では済まないと孫策は察したのか黄蓋に命令した。
「何を言っておる!? そんな真似ができるか! これは一対一の勝負。それに水をさせるわけがなかろう」
黄蓋は孫策の命令に文句を言い命令を拒否した。
「何いってんのよ! あの男は母上を殺す気よ。あの男の途中から母上に殺気を放っているわ。本気で殺る気なのよ」
「それはそうじゃろ。文台様も坊主に殺気を放っておる。殺気を放たれれば相手も殺気を放つじゃろ。それにこれは一対一の勝負じゃぞ。横槍など無粋。怪我はするかもしれんが流石に殺しはせんじゃろ」
黄蓋は孫策の話など聞く耳がないようだった。
「ああ! 何でもいいから、あの男に弓を射なさいよ!」
孫策は黄蓋を急かした。
「分かった。怪我をさせように気をつけて射つ
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