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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第154話 孫堅参上
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騎将軍」と単語に敏感に反応した。劉表の側近とはいえ荊州の一豪族に過ぎない蔡瑁に車騎将軍自ら討伐の檄文を出すことに違和感を感じたのだろう。その証拠に孫堅も半信半疑の様子で思い悩んでいた。

「祭、その話は劉表が偽情報を流して私達を嵌めようとしているんじゃないのか?」

 孫堅は黄蓋の話を胡散臭く思っているようだ。黄蓋も孫堅に言われ微妙な表情に変わった。

「仰るとおり怪しいです。ですが、この檄文は韓嵩だけでなく荊州各地の太守と豪族に届けられていると噂になっているのです」
「噂は零陵郡内でだろ? 韓嵩の小細工じゃないのかい」

 孫堅の言葉に黄蓋は頭を振った。

「ここ臨湘では市中に広まっている様子はありませんが長沙郡にも噂は伝わっています」
「それは長沙郡と零陵郡が隣だからだろ」

 孫堅は黄蓋に気のない返事をした。

「噂なら問題ならよいのですがどうも気になって。文台様の元には檄文は届いていないのですか?」
「届いていない。この私を差し置いて韓嵩に檄文を送ることがあれば私そいつを殺してしまいそうだ」

 孫堅は指を鳴らしながら不気味な笑い声をあげた。

「文台様、落ち着いてくだされ。しかし、泉陵(零陵郡の治所)では兵達が慌しくしておりました。蔡瑁討伐の檄文と関係あるやもしれません」

 黄蓋は深刻そうな表情だった。

「祭、他に何かあるか?」

 孫堅は黄蓋の懸念が気になったのか質問した。

「泉陵の民達が車騎将軍の使者を名乗る一団が南陽から零陵に遣ってきた言っておりました」

 突然、孫堅は瞳を険しくした。

「その裏は取れているのか?」
「裏は取れておりません。しかし、韓嵩の元を訪れた一団はこの辺りでは見慣れぬ牙門旗を掲げ統率のとれた兵達を引き連れていたそうです。零陵の民で見た者がかなりおりました」
「見慣れぬ牙門旗」

 孫堅は黄蓋の説明を聞く腕組をして虚空を睨んでいた。

「牙門旗は白地に『満』と書かれていたそうです」
「白地に『満』」

 孫堅は黄蓋の言葉を反復し独り言を言った。

「この辺りの部将でないことは確かだな。そうなると何故私の元に檄文が来ないのか?」

 孫堅は虚空を眺めたまま独り言を言う。

「腑に落ちませんな。いの一番に蔡瑁と対立する文台様の元に檄文を届けそうなものですが」
「檄文を書いた主が車騎将軍なら私なんて知らないかもしれんがな」

 孫堅は苛ついた様子で黄蓋に言った。黄蓋は孫堅の勘に触ったと思ったか押し黙った。

「文台様、あまりお気になさいますな」
「気にしてなどいない!」

 孫堅は声を荒らげた。彼女は自らの才覚のみで立身し今の地位についた。しかし、出世すればするほどに他者の妬みによる非道中傷が独り歩きする。史
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