各々の獲得
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ない。
彼女との事ではないけど……
「その……」
事ではないはずなのに思わずふと過ぎった弱みから、浅間・智の性格の檻から放たれた言葉から口から洩れた。
「留美さんは───何でシュウ君を好きになったんですか?」
「───」
返事は直ぐには返って来なかった。
当然だ。
今のは遊びに来たの範疇に入る言葉ではない。
完全に他人のプライベートな領域に立ち入る言葉だ。
ここで怒られても文句を言えない内容であり、ふと冷静になればやってしまったという思いはあるがもう引き返せない。
肝心な事を聞けていないがもうその時はその時だと開き直るしかない。
自業自得という言葉で帰るしかない。
そう思っていたのだが、少し空いた間の後に来たのは怒りの声ではなく
「……ふふ」
ちょっとした苦笑であった。
流石に予想外な反応に困ったような表情を作ってしまったが、留美さんもそれに気付きすみません、と前置き
「実は似たような会話を先程話した女子会でも聞かれまして……あんまり語るような事でもないのに話題にばっかり上がっちゃって……はしたないですね」
「い、いえ! そんな! それではしたなかったらうちのクラスメイトは汚いに……!」
いや実際汚いクラスメイトなのだが汚さの方向性が各自違う。
お金とか同人とか胸とか生命礼賛とかカレーとか。
意外と汚さにバリエーションがある事に気付いたが、気付いてもどうしようもないので黙殺。
こちらの言葉にまた上品に笑う仕草が凄く似合っていて何故かこっちが恥ずかしくなる。
そして少し笑いの余韻を味わいながら留美さんはその表情のまま話を続けてくれる。
「でも残念だけど……私は何か特別な事があった、言われたとかそういうのでシュウさんを好きになったわけじゃないの。確かにそう言うのにも憧れがないと言えば嘘になりますけど……」
おおぅ……凄い話を聞いている気がする。
つい前のめりになってしまいそうになる体を必死に抑えている。
留美さんもちょっとテンションが上がっているのか少しだけ頬を赤く染めながら
「まぁ、個人的な結論ですけど、自分でも納得している答えを述べるなら……長い間巫女としても一個人としても接して思ったんですよ───ああ、この人となら日々を幸いに過ごせるのではって」
「───」
うわぁ……
本当に凄い話だ。
そしてある意味で現実的な話だ。
つまり、この人は特別な事から彼を見ているのではなくあくまでも普段の自分の視点で接した中でシュウ君と一緒だといいな、と思ったという事だ。
草子とかと違ってロマンはないかもしれないが、逆に強固な想いなのではと思う。
何故ならそれは特別下の中で起きた感情ではなく日々の日常で培った積み重ねだ。
どの
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