各々の獲得
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その背を熱田が見る事はない。
後ろをテンション高く去っていく点蔵の気配を癖で追いながら熱田は無心に徹する。
何も見るモノも思うモノもない。
そういう柄でもないし、考えるのも面倒だ。
「ちっ……本当にあの女王はいやらしい言葉回ししやがって……」
種族特徴は仕方がないとしても性格に関しては悪趣味だ。
女王という位なら仕方がないか───なんて絶対に思ってやるか。
女王の言葉にも誰が頷いてやるものか。
あの時に言った言葉は全て嘘偽りがない。
何より
「誰かを守るとか救うとかいうのは苦手分野なんだよ……たった一人で手一杯だぜ……」
誰にも聞かれない言葉を吐きながら溜息を吐こうとしてそれを意識的に留めて熱田は行く。
行くという在り方こそが自分なのだから。
浅間は我慢をするのは得意な在り方な方だと思っていた。
巫女としての職務的なものも勿論あるが、それ以上にクラスの外道達との付き合いには必ず我慢スキルが必須項目だからだ。
そのスキルを持ってないとネタにされる事が多いからだ。
ちなみに正座を長時間座るのも得意だ。
巫女として、いやさ一人の人間として欲などに負けないように生きるべし、と志して生きているのである。
それを周りが婉曲して人をズドン巫女とか欲深巫女とかエロ巫女とか失礼な。
エロゲをやっているのはトーリ君の術式的な面倒を見る為の毒見役ですし、ズドンをするのは某幼馴染が暴走をするのを止めるための治安維持の為の行いですし、幾ら欲を抑えているとはいえ節制ばかりしては心と体に悪いと思って偶にお酒やアイスを飲食するだけです。
おお、自分、物凄くちゃんとした巫女じゃないですかと自画自賛してしまいそうだ。
偶に父さんがエロゲをしていたり、お酒を飲んでいる所を見られると「智! 思春期だね!? パパも頑張るよ!」と結論が謎なのだが気にしない。
でも父さん、もう少し年齢を考えて。
そんな風に現実逃避をする中、視界には
「ふふ……お茶で構いませんよね?」
と、綺麗な笑顔でこちらに笑顔を浮かべる人物。
神納・留美さんがいた。
「い、いえ……お、お構いなく……!」
どうしよう。私、接待されるのに慣れていない。
何時もは接待というかお世話する側だったので逆になるパターンは中々無い。
というかそういう格式ばった行いをするほど遠慮というのが身内にはないのだ。
しかい、今回の相手にはそうもいくまい。
相手は何せ熱田神社の巫女である留美さんだ。
他社の巫女さんに粗相などしてはいけない。
これは浅間神社の巫女としてしっかりしなければならない問題である。
そうしてガッチガチになっている私の心境が目にとって見えたのか留美さんは苦笑と共に
「今回はプライベート
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