各々の獲得
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た。
間違いなく武蔵には彼の家族は乗船していないのに。
それにおかしな所と言うのなら実はそれ以前から感じている部分は多々ある。
例えば三河異変による地脈炉による三河消失。
あの時、三河にある熱田神社の主社も巻き込まれ、武蔵に合流したのだがその中にも彼の家族の名前はなかった。
勿論、可能性は低いが他の国に向かったという可能性は一応ある。
そして他にも
「八俣ノ鉞……なんて名前がこの前ようやく付けられましたが……神格武装クラスのあの剣を熱田神社が所持しているのはおかしくはないんですが……その割にはスサノオ、もしくは草薙に由来する名が付けられていないというのもおかしいな、って思っていたんです……」
スサノオなら幾らでもあるというわけではないがスサノオが所持していた十握剣など彼が握るに相応しい名だ。
そうでなくとも名を持たない剣を持つ理由が普通は無い。
彼も神道だ。
名の重要性を理解していないはずがない。
それにだ。
「シュウ君は誰にでもなのかは知りませんが……少なくとも私の経験上では冗談は言っても嘘を言うのが苦手なんですよ……だから代わりに本当の事を言わない癖を作っているんです。特に私達が心配する事は」
小等部から中等部は正にそれであった。
余りの酷さに一度本気で怒ったがそれでも頑としてその生活を貫いた。
岩とか金剛なんて物で例えれる頑固さじゃない。
一度くらい弱音を吐けばいいのに……そこだけがある意味トーリ君とは似ているようで似通っていない。
冗談では幾らでも言ってもそこに本気の要素を込めて言葉に出したことだけは一度もない。
究極クラスの馬鹿の石頭である。
厄介な事にそれが彼のやりたい事なのだ。
血反吐吐いても誰かに嘲笑されてもやりたいと決めたことなのである。
それでは誰も無理をするな、と言えなくなってしまう。
その旨を留美さんにも告げると彼女は苦笑を顔に刻み
「質問を変えます。何故、聞きに来ようと思ったんですか?」
聞かれるかなぁ、と思っていた問いだったので驚きはないけどやっぱり言わないと駄目ですよね、と内心でやっぱり何を言われても大丈夫なようにちょっと覚悟をして
「いや……その……多分、シュウ君も近い内に自分の失敗に気付くと思って……それだといきなり言われて身構える形になってしまいそうだから……ほ、ほら……シュウ君って思い立ったら即行動みたいな所があるじゃないですか? だからせめて心構えだけでも」
と思いまして、と続けようとしたが口が開かなかった。
自分の内面で起きた出来事で口を閉じたわけではない。
口を閉じた理由は外部の出来事だ。
それは目の前の少女の表情が酷い言葉を聞いたという風に笑ってしまっていたからだ。
いっそ沈痛そうな顔をしてくれたら咄
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