各々の獲得
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れば歩法は成立しない。
宗茂様が起きていられたら自分は彼相手に歩法をかけれただろう。
かもしれない、とは言わない。
そのレベルまでお互い鍛錬を積んできた、という事実を解っているからだ。
だからこそ武蔵副長のレベルが理解できた。
初の交戦相手の、それもあれ程の数に対して歩法をかけるなぞ最早人間業を超越している。
正しく神業だ。
しかし
「───だからどうしたというのです」
その強さに敬意は持てども弱気は持たずが立花……否、武士の流儀だ。
極東最大にして最古の英雄の代理神とはいえスサノオ本人ではないし、付け入る隙は幾らでもある。
隙がないのならこちらから作る。
作れなかったのならばこじ開ける。
怪物に挑むのだ。それくらいの覚悟が無ければ打倒出来ない。
相手もそれを望んでいる。
何故なら彼は己が最強になると謳っている。
かかって来い、とも叫んだ。
その叫びに刃を持って挑まずどうする。
……意外ですね。
そこまで考え、自分の思考に言葉通りの意外さを感じる。
武蔵に乗り込んだあの時はあれ程恨みを吐き出したというのに、今はそこまでの恨みを持っていない。
何故だろうか、と自問する。
すると内心の己が答えを返した。
……何故なら彼の技には誇りを感じるからです。
傲慢という意味のプライドではない。
この技を得るために自身は間違いなく揺るがぬ努力と意思を持って日々を過ごしたという誇り。
剣神の剣からはそれを感じる。
きっと剣神だからではない。
剣神は剣と同化する事によって多少の体捌きや剣術を術者である剣が教えると聞くがそれだけではあのレベルには到達しないだろうし、受けた自分が勝手にそう思ったのだ。
この剣には正しさはないかもしれない。
でも、同時にそれがどうした、という迷いの無さを感じる、と。
国を左右する戦いなのに不謹慎かもしれないがそんな相手と戦えるのは武人として誉だ。
ならば恨みのみで戦うのはお互いにとっても侮辱なはずです。
「西国無双の理を持って暴風の刃を全力で手折りに参りましょう」
己にしか聞こえない宣言を耳に入れ、ァは何時の間にか宗茂の世話を終わらせていた自分に気付き、苦笑を入れて部屋から出る準備をする。
そうして部屋を出ようとするがその前に再び彼の方に向き直る。
やはり、そこには彼の寝顔。
寝息に変化は無く、符も効いているので寝たふりという事はない。
こういう時はお約束では私が部屋を出た後に宗茂様が起きるというパターンがあるのかもしれないが、まぁ、やはりそういう事はない。
もしくは寝ている彼に対してキスの一つでもして向かう、というシーンなのかもしれない。
王道パターンだ。
しかし
「───私達の王道ではないですね」
そん
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