居場所は変わりなく
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婦なんてからかうのはやめてくれ、あいつら二人の為にも」
生真面目にそう説明する彼女は、本当に友達想いの良い人だ。
先ほどの対応から見るに、彼女も少なからず徐公明の事を意識したりはしているのではなかろうか。
その点の考えはシャオも同じだったようで、さらに首を捻った。
「情報だと徐公明って侍女を三人侍らせてるらしいし、結構な女好きかと思ってたんだけど」
「……其処はあいつの為に弁解しとく。
好意を寄せられるだけで想いに応えるとか、好きになってくれた人皆を愛してやるぜとか言っちゃうような、そんな都合の良い男じゃないんだよ、あいつは。優しいとかそういうありきたりなモノで女に惚れられるような奴でも無い。可愛いからとか魅力的だからとかで直ぐに女に惚れる奴でも無い。
きっと尚香は何人も妻を持てばいいから問題ないとか考えてるだろうけど、あいつは余程じゃない限りしないだろう。それがあいつなりに考えてる誠意の返し方、だと思うぞ」
先読みして返された答えにむっとシャオの眉が寄る。
有力者であれば妾等の存在を持つのは当たり前のはずなのに……その意思には好感が持てる。
ただ、また公孫賛の瞳が翳った。次に語られた言葉に、私の背筋が凍った。
「でもな、あいつの本当にバカな所は……世界の為ならなんでも切り捨てる所だよ。自分自身であっても、自身の子であっても、私や星みたいな友達でも、共に戦った仲間でも、ずっと傍で支えていた最愛の一人であっても、なんでもだ」
自分で知っていてそれを言えるのか、この人は。
何も言葉を返せなくなって沈黙が訪れる。シャオの喉が渇きを潤す為に音を一つ鳴らした。
――それを知って尚、如何して公孫賛は徐公明を信頼できるんだ。
私には理解出来ない。
自分が切り捨てられると分かっていて、それでも徐公明を信頼出来る公孫賛が。
ふいと、彼女と視線が繋がれる。疑念の色を見てか、くくっと喉を鳴らした。
「分かんないよ。私でも全然、半分も理解出来てないんだ。あいつがどれだけ……どれだけ生きてる人達の事を好きで、どれだけ世界を変えたいと願ってるのかなんてさ。
でもそんな生き方を出来るあいつが好きなんだ。自分の命を投げ捨ててでも他人が笑って暮らせる世界しか優先出来ない愚かなあいつの事を、誰かは信頼してやらなきゃさ……私達自身がすっごくちっぽけに思えてくるんだ。敵だ味方だなんて関係ない。それが例え――――」
――――殺し合いをする間柄になったとしても。
最後まで紡がれた時に、前方の兵士達から声が上がった。
凛とした横顔からはもう寂寥は消えていた。公孫賛が目を細めるだけで空気が張りつめる。
先ほどの言葉が、私の心に重く圧し掛かった。
――敵でも愛する……か。
「孫
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