居場所は変わりなく
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夫婦げんかに等しいってこと? ダメだよ? 家の中でだけにしなきゃ」
「だからそんなんじゃない! それにいいんだよ、あいつの帰る家は私の居る場所で、それなら家族の喧嘩になるんだから」
ああ、ダメだこの人は。どうにか言い返そうとしたんだろうけど、その発言は最悪の方向にしか持って行かない。
「伯珪さんの居る場所が家って……やっぱり家を守ってる妻にしか思えないんだけど」
言われた瞬間、公孫賛の顔が更に赤くなった。
(あいつが夫……? 私の? 雛里と星が居るんだぞ? それに朱里だってアレだし……確かに秋斗は一緒に居て楽しいし暖かいけどさ)
ふるふると震える身体、何やらぶつぶつと呟いているが聞き取れなかった。
「ふふっ、伯珪さんって面白いね♪」
「こら、小蓮。からかい過ぎよ」
「でも気にならない? 黒麒麟に切り捨てられたのに伯珪さんは全然悪感情を向けてないんだもん。それってやっぱり好きだからかなぁと思って」
鋭く光る瞳、その目には見覚えがあった。意思をもって何かをしようと決めた時の目だ。
私にだけ聞こえる声で語りかけてきた小蓮は、あちらから情報を得ようとしていたらしい。
――何を狙って? 疑心暗鬼過ぎか? でも小蓮の目が気になる。公孫賛と出会ってから急に態度を変えた事も。
全てを聞き出そうとする事はよろしくない。誰だって踏み込まれて嫌な部分はある。
小蓮が私達を騙している、というわけではない。
きっと孫呉の為になることで、それでいて小蓮が秘めている事を叶える為の方策か何か。
――今はいい。
難しく考えすぎるのはよくない。何より妹を疑っている自分に腹が立つ。
というか……妹がすることを管理したい、そういうように見える。支配と管理のどこが違う。首輪を付けられて箱庭で暮らす窮屈さは自分達がよく知っている。
家族を利用などしたくも無い。
寸分の吐息は切り替えの為に。
数瞬の思考を切り捨てて、小蓮の瞳をじっと見つめた。
「恋仲かどうかは置いておきましょう。伯珪殿を見るにそういう事に慣れていなんじゃない?」
「お姉ちゃんもでしょ? シャオもだけどさ」
「言わないの。そんな暇も無かったわよ。
でも、何処かの誰かと結婚して血を残すとして目は養わないとダメね。そういう点で……黒麒麟を間近で見てきた伯珪殿は私達よりも上でしょう」
「……男を見る目、かぁ……」
思い悩むような一言に、シャオの眉が僅かに寄る。
公孫賛が漸く自分の世界から戻ってきたようで咳払いを一つした。
ハッとしたシャオが僅かに首を傾げる。
「……一応言っておくぞ? 秋斗……黒麒麟徐公明には恋仲の女が居る。互いに想い合っているし絆は私よりもきっと深く繋がってるだろう。だから夫
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