居場所は変わりなく
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の案件は終わらせて来る。自分だけ遅くまで仕事するくせに他人の寝る時間には口うるさかったかな」
「へぇ、それって優しさじゃない? 情報で知ってるよ? 幽州の白馬長史は仕事の鬼、何時睡眠を取っているか分からないって」
「仕事の鬼とか……私のそんな情報集めなくてもいいだろ。まあ、その話はいい」
少し寂しげな表情の公孫賛は小さくため息を吐いた。感情を帯びた瞳が揺れる。
「優しさ……ね。ちょっと違うかもしれない。
心配するのは誰でも出来る。気遣うのも誰でも出来る。でもあいつのは……自分勝手のわがままなのさ。勝手にやって、勝手に奪って、勝手に笑わせて来て、勝手に側に来る……そんなわがまま。
互いに寄り掛かったりしないけど絶対切れない絆が出来たのはあいつがそんなわがままを押し通してくれたからで、あいつが優しいってだけじゃきっと此処までならなかった」
不思議な瞳の色が示すのはきっと親愛。彼女はそのわがままを許容していて、その関係が好きだったということ。
誰だろう。誰かと誰かの関係に似てる。私はソレを近くで見てきた……そうだ……姉さまと冥琳の関係に似てるんだ。
むむっと唸ったシャオがポンと一つ手を叩いた。
「あ! なんかアレだね、伯珪さんと黒麒麟って夫婦みたい」
「……へ?」
一寸止まった公孫賛から呆けたまま出た変な声。
徐々に、徐々に顔が赤く染まって行く。半笑いでぶんぶんと首を振り始めた。
「は、はは、わ、私とあいつが? いやおかしいだろ! ないないないない!」
「だってなんでもわかり合ってる夫婦みたいにしか思えないんだもん」
「無い! あいつは無い! 私とあいつは友達なんだ!」
「えー? そんなこといいながら真っ赤になってるじゃん♪」
「お前が変なこと言うからだろ!?」
「変じゃないもーん、ね? お姉ちゃん♪」
私に話を振るな。
とはいえ、シャオからこんな気兼ねなく声を掛けられたのは久しぶりな気がする。なんだか胸の中がジワリと暖かくなった。
自然と、口の端が持ち上がっていた。静かに瞼を閉じる。穏やかな空気が心地良かった。
「そうね、きっと伯珪殿と黒麒麟はお似合いだと思う」
「な……孫権殿まで……」
「ほら♪ 敵対してるけど伯珪さんの愛で黒麒麟を取り戻して乱世を終わられば……なんか物語みたいだね」
「やめっ、やめろよ恥ずかしい! 私の愛とかなんなんだよ! そんなんじゃないし!」
なんだろう。この人は自分から弄られやすい方向に話を持って行くクセがある気がする。
緩い空気に、クスクスと笑いが口から洩れた。
「でも黒麒麟が欲しいんでしょ?」
「欲しいとかじゃない! あいつは一回ぶん殴らないとダメな大バカ野郎なだけなんだ!」
「つまり伯珪さんと黒麒麟の戦は
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