第七十一話「守ル/喰ウ ための力」
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ら判別できない状態だった。
「今」が「いつ」の自分なのか。それすら自分でも分からない深刻な状態に陥っていた。
今まで隠し通してきた自身の心境。
心の傷。
悲哀。
苦痛。
正気じゃないからこそ、正気だったころに抱え込んできたものが表に出てくる。
歪んだ狂気として。
「ッアアアァァァアアァアアァアァァァァアアアァァァアァアアァアァ!!!!!!」
突然叫び出し、空を見上げながら頭を両手で抱え膝をつく。
「殺シテやる……俺カら"奪う"モノすべテ……守ル…俺が……強くナッて……俺ガ守る、俺が…殺ス…」
「殺サナいト……守らナイと……」
「殺す殺ス守る殺す守ルコロす守る守ル潰す助ケる殺す救ウ潰す喰ウ殺す……」
「アアァァァァァアアアァァァ!!!! 返セ! 俺の仲間ヲ! 空っぽニナッた俺ノ過去をぉォ!」
憎悪に満ちた表情で空を見上げる。
頭を抱える両手には相当な力が込められているのか、ギリギリと軋む音がする。
自分の頭を握りつぶさんばかりの力があるようだ。
そして、変化が見られたのは様子だけではなかった。
左足と右腕を覆っている硬化したコープスが、徐々に広がっている。
それぞれ肘とひざ上辺りまで覆われていたが、少しずつ付け根まで侵食され始めていた。
「ちょっとちょっと……冗談じゃないわよ…」
引きつった顔でブランクの身体の変化を見つめるヴァルゴ。
認めたくはないが、直感的に「どう足掻いても勝てない」と感じた。
その直感に従うように、ゆっくりと後ずさりし始める。
「潰シテ砕イテ喰イ殺シテ………守るンだ…仲間ヲ……守らナイと……」
ブランクが頭を抱えながらよろよろと歩きだした。
歩いていく先には何もない。
ただ、旧市街の崩れかけた建物があるだけ。
「力が欲シい……守ッテ、殺シて、喰っテ……」
そう呟くと、突然崩れかけの建物の壁に右腕を強引に突っ込んだ。
壁には大きな亀裂が入り、あとほんの僅かでもずらせば簡単に崩れてしまうほどだ。
ブランクが右腕を引き抜こうとした直後、案の定、亀裂が広がり建物が崩れ始めた。
建物は一瞬でその形を失い、巨大な瓦礫と化し、ブランクを押し潰さんと迫る。
しかし、ブランクが瓦礫に潰されることはなかった。
それどころか、自分よりも巨大な瓦礫を両手で受け止めていた。
「潰シテ、潰しテ、潰シて、喰ッテ……強ク………モっと力を……!!」
ブランクの足元からビキビキと音が鳴った。
彼の足元の地面を見ると、ヒビが入り
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