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その魂に祝福を
無垢の時代
廃墟を彷徨うワガママ娘
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「うわ! キザ!」
 顛末を一通り語って聞かせると、アルフはそう言った。
「どういう意味だ?」
 どういう意味も何もないだろうが。腕組みをし、半眼で睨みつける。
「だってねぇ……。こんなでっかい屋敷に住んでる奴に何でも言ってくれって言われて、言った言葉が娘のために時間を使えって」
「分かった。なら、お前達の一件が済んだら全額現金で請求してやる」
「アンタ偉い! 凄い良い奴! カッコいいよ!」
 白々とアルフが喝采を上げる。やれやれ、現金な奴め。まぁ、別にフェイトに対して見返りなんて要求するつもりもないが。いや――
「別に全く見返りもなく助けた訳でもないんだがな。お陰で上得意が二人も増えたんだ」
 アリサは言うに及ばず、彼女の父親も暇を見つけては店を訪れる。さらに言えば、会社で打ち合わせか何かある時は出席者分を買っていってくれることもある。
「いや、そうは言うけどさ。真面目な話、それで銃撃戦に巻き込まれるってのも割に合わない気がするけどね」
「昨日の雷に比べれば可愛いものだろ?」
 まったく。いくら何でもあんな一撃を見舞ってくることはないだろうに。下手をすれば死人が出ているところ――というより、くらったのが俺でなければ死んでいるところだ。
「そりゃそうか。……ところで、アンタの家の店のお菓子ってそんなに美味しいんだ?」
「まぁな。終わったら来ればいい。歓迎するぞ」
「そうだね。楽しみにしとくよ」
 フェイト達に対しても、それくらいの見返りは請求してもいいか。フェイトにしてもアルフにしても甘いものが嫌いと言う訳ではないし、常連客になってくれるだろう。
(上手くすれば三人、常連客を増やせるかもしれないな)
 もっとも、全てはこの一件に片をつけてからだが。
「さて、そろそろ行くか。あまりのんびりとしてもいられない」
「そうだね。きっとフェイトも待ってる」
「ああ。そうだな」
 思い出話に幕を引き、立ち上がる。アルフ達とも、いつかそんな事もあったと笑って話せるような、そんな幕引きをしなければならない。
 …―――
 パパから電話がかかってきたのは、親友達を見送ってからのことだった。
「そうか。じゃあその犬は光君が引き取って行ったんだね」
「まぁね。何か知り合いの飼ってる犬だったみたい」
 納得できたかと言われると返事に困るのだけれど。それでも、やっぱりアイツに任せるより他にないらしいと認めなければならない。まぁ、アイツ自身の心配をしない訳ではないけれど……思い出されるのはやはり飄々とした顔だった。
(あの時だってそれが崩れたのはアタシが飛び出した一瞬だけだったし)
 自分の身くらいは自分で守れるということなのだろうけれど……だから安心だとは思わない。上手く言えないけれど、だから危なっかし
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