第二話 たかが一杯。されど一杯。
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それでリゼさん、この方とはどういったご関係で?」
ココア「無視しないでよぉ…」
チノに相手にされなくてココアが泣き崩れている、というのはわりかしいつもの事だが、このチノ食いつき方……私が何か納得のいく説明をしなければ、「泊まっていってください。話してくれるまで私はあなたを返しません」と、さらりと軟禁発言さえも言ってのけそうな雰囲気だ。
(話すしか、ないのか…?)
私は葛藤する。話すにしてもチノならまだいい。口数が少なく、更に秘密は絶対に守る主義だ。だが、ココアおまえはダメだ。
ココアは、人の秘密をベラベラと吹聴するスピーカータイプの人間ではない。
だがしかし、ココアだ。
いかんせん、ココアだ。
例えば、常連のお客さんが彼を見つけ、「新人さんかな?」ココアに声をかけたとしよう。
ここで、はいそうです。に続く無難な反応をココアに期待してはいけない。それは、どこかで失くしてしまった財布が中身が無傷で返還されてくる、という希望的観測と同義だ
そうだな、ココアならば、と私は空想を膨らませる。
お客さん「あの子、新人?」
ココア「はい、男の人のバイトは初めてで私も緊張してるんですよ」
お客さん「へー随分とがっしりとしてらっしゃるけど、学生さん?」
ココア「はい、リゼちゃんと同じ学校に通ってるんですって!!」
お客さん「あの、リゼちゃんって、あのツインテの子よね?」
ココア「はい!」
(うん、ここまではいいんだ)
お客さん「でもあの子の制服見たことがあるのだけれど、女子高よね?」
ココア「はい!」
お客さん「……ん?」
ココア「はい?」
(おいこらココア!!何しれっと爆弾投下しているんだ!?)
お客さん「……………。ちょっと用事が出来たので失礼するわ」
ココア「あ、はい」
お客さん「これ、お会計ね」
ココア「はい、千円からお預かりいたします」
お客さん「おつりは結構よ!!」
ココア「?すごいスピードでいっちゃった。おつり、渡しそびれちゃったどうしよう?」
(そこじゃないだろぉぉおおおおおおお!!!)
ってな感じで彼の事が町中に広がってしまう!? ※これは私の勝手な妄想であり、現実とは全く関係性はございません。
(いや、だが待て、女子高に男が通うことになった以上、もう噂は町中に流れているとみていい。この街の情報伝達の速度を舐めたらいけない!……となれば、その大きな話題性を隠れ蓑に、彼が私の護衛であるという事実が発覚する最悪の事態は防げるのではないか?)
結果的にまず彼を矢面に立たせることになってしまうが、そもそも彼は私の護衛だ。私の代わりに身代わりになることは何も不自然なことではないし、気に病む必要も
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