プロローグ
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「これが落ち着いていられるか。百歩譲って護衛の事は置いておくとして、何故それがお、おおお、男なんだ!?おかしいだろ!!」
リゼ父「話せば長くなるんだが……そうだな、少し前に起きた旅客機の立て籠もり事件は覚えているか?」
リゼ「ああ」
確かに、空港でテロリストの旅客機の立て籠もり事件があったとテレビで放送されていたが、それがこの護衛の事と何の関係があるというのだろうか?
リゼ父「あれで人質に取られた女性、メディアには内密にされているが、うちの軍の元帥の一人娘だったらしい」
リゼ「はあ!?」
衝撃の事実だ。確かに、少し前に旅客機の立て籠もり事件があったのはニュースで観た。
人質を取られたが、軍の突入部隊の活躍により、犯人のテロリスト以外は乗客、乗組員、人質までもが傷一つなく解放されたという、記憶に新しいニュースだ。
だが、先ほどの親父の言葉が本当であれば、軍の危機管理で軍法会議もの事案だ。
リゼ父「どうも、元帥が一人娘と喧嘩して家出中の出来事だったらしい。その時は元帥は別件で立て込んでてな。歯がゆい思いをしたと同時に、その時一番の功労者、つまりは彼にお礼がしたいと申し出た」
リゼ「功労者……?」クビカシゲ
リゼ父「あの霧の中で、旅客機の入口に立っていた1300m先の犯人の、銃を持っている手だけを正確に打ち抜いた。そして、知っての通り、人質は無事だった。全くの、無傷」
リゼ「う、嘘だろ……??」
訓練の内容には、勿論実弾射撃も含まれていた。なので、その状況下での狙撃の無謀さ、またそれを成功させた手腕は、もはや凄腕という肩書をすっ飛ばし神業にまで匹敵する。
リゼ「流石に眉唾だろ……?」
リゼ父「ああ、私も話を聞いたときには同じことを思った。戦果は往々にして尾ひれが付くものだ。兵士の士気を向上させるためにな……だが、彼は本物だ。私が、自分の目で確かに見た。約4000mにも及ぶ、超遠距離射撃をな」
その異常性は、もはや言葉に出来るものではなかった。対人狙撃最大有効射程は、差はあれど大体800〜1000mが相場だ。
対物ライフルとそれに対応する弾薬を使用したとしても、その有効射程は2300mほどだったはずだ。その、約二倍。対人狙撃では、約四倍近い超々遠距離射撃だ。600m先の的にも当てられるかすらわからない私にとっては、もはや未知の領域だ。
雄二「発言、よろしいでしょうか?」
リゼ父「ああ、構わん。というか、肩書は護衛だが、君は我が国の元帥の恩人。もう少し砕けた口調で構わんよ」
親父は頬を緩ませる。だが、彼の表情は全く変わることはなかった。
私はそれが少し不気味だった。彼の変わることのない表情が、闇夜をさまよう幽鬼のようで。
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