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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
23.君の希望を僕にくれ
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心を折られてしまえば、後に残るのは弱い人間だけ。それは恐怖と信念の鍔迫り合いだ。それを越えられずして、誰が一人前などと言えようか。

 そして、第一の試練を乗り越えた先には、第二の試練が待っている。
 故に――カミイズミは初めてイデアに「本気」の一部を晒すことにした。

 気迫が、噴出する。

 イデアの剣術市販としてのそれではない。『ソードマスター』のアスタリスク所持者たる最強の剣豪としてのカミイズミが、目覚めた。

「――ッ!?な、なに……この感じ!今までの師匠とは全然違う……!」

 放つ気配が突如刺すような鋭さに変貌したことに気付いたイデアは、咄嗟に攻撃の手を止めて飛び退る。構えを解きはしないが、その額からはその「本気」を本能的に察知しているのか冷や汗が流れている。

「イデア。君は強い。それは以前から認めていたことだ……だが、どれほどの技術を身に着けようが、それを振るう信念が揺らいでいるうちは真なる強さとは呼べない」
「心技体……ですね。剣を振るう肉体、剣を扱う技術、剣を惑わせない強い信念。その三つが揃って初めて剣士となる……耳にタコが出来るほど聞かされました」
「左様。そして、それは終わることのない戦いでもある。例え君がブレイブに実力を認めさせたところで、その先には逃げ出したくなるほどの苦難がごまんと待ち構えている。数えきれないほどの主義主張は、今まで君が信じてきた全てを覆してしまうかもしれない」
「……………」

 ごくり、とイデアは生唾を呑み込んだ。
 カミイズミの言わんとすることを、イデアはまだ理解しきれていない。ただ、カミイズミがあらゆる意味で「本気」であることだけは肌で感じられた。

「君は、逃げずにそれに立ち向かえるかな?」
「……わからない。あたしには師匠が言う戦いの半分も理解できてないんだと思う」
「だが時間は待ってはくれぬ。敵も、味方も、それを待つほど流暢ではない。イデア、君はどうする」

 その問いに、イデアは一度目を閉じて――すう、と静かに息を吸い込んだ。
 ――はぁ、と浅く息を吐き出して静かに目を開いたイデアに、迷いはなかった。

「あたしは、あたしを信じる。お父様でも師匠でもなく、あたしの正しいと信じる行動を取る!そうでなきゃ、あたしの剣はすべて嘘っぱちになってしまうからっ!!」

 今まで自分が積み上げてきた努力は、父の為だけに積み上げたんじゃない。
 自分が正しいと信じた父の作った道に、いつか自分も立つんだと決めたから、自分を鍛え上げたんだ。だから――イデアは、イデアの信じた道を行く。

「――そうか。……ならば、この私が自ら君の最初の苦難として立ちはだかろう!我が剣の極意を叩きこまれて尚同じことが言えるのならば、その思いのたけをブレイブにぶつけるが良
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