23.君の希望を僕にくれ
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って単純。
「かわいい……」
おとぎ話に出てくる妖精のような可憐なその姿に、アイズのハートはものの見事にノックアウトされていた。ある意味それも無理のないことかもしれない。ティズは初対面で魔物呼ばわりしていたが、エアリーの姿は客観的に見ても可愛らしい。
かわいいもの大好きな女の子ならばその容姿にメロメロになるなるし、そうでなくともついつい心を許してしまうだろう。これはそう、しょうがない事なのだ。
だがエアリーを見たアニエスは全く別の意味で固まっていた。
似ている――細部は違うが、あのの姿はクリスタル正教の伝承に存在する『ある存在』と酷似している。しかも、遠巻きにではあるが『大穴を塞ぐ』という言葉が聞こえてきた。
(もしや、あれは予言に記された『クリスタルの精霊』……!?)
クリスタル正教には大小様々な予言が存在し、その殆どがごく近い未来を予見したものでしかない。
だが、クリスタルの巫女たるアニエスは、それらより遙かに古く抽象的な予言を正教総本山ガテラティオで読んだことがあった。総本山の書物庫に安置された、クリスタル正教が正式に樹立した時期に近い頃の何者かの手記。名前は伏せられていたが、さる高名な賢者によるものらしいそれは、厳重に保管されていた。
『クリスタルに禍い訪れし時、世界の終わりを告げる瘴気が光と共に訪れん』……その伝承は限られた数の人間しか知らない情報。アニエス自身、自分以外に誰が知っているのかは殆ど把握してない。内容が内容だけに情報が伏せられているのだろう。
ただ、その伝承の続きには『クリスタルを司る精霊、世界の危機を知りて降臨し、世界を救う術を囁けり』とあり、妖精の姿などが書きこまれていた。
改めてアニエスはティズと見つめ合うその精霊を見つめた。
尖った耳、小さな体躯、蝶の羽……伝承では白い髪とあった筈だが、見た所では灰色に近い。だが、予言という事はその目で見たのではなくイメージに近い筈。色に関しては単なる誤差である可能性の方が高い。
だとしたらその精霊の声に耳を傾けるのもクリスタルの巫女の役目の筈だ。
クリスタルを、この世界の根源を管理する巫女として、この災禍を退ける術を何としても聞かなければいけない。
でなければ、またあの時のように喪うことに――
「あ、あのっ!!」
アニエスは声を張り上げて、二人の間に割って入った。
「すみません!私は風のクリスタルの巫女、アニエス・オブリージュといいます!無礼を承知でお聞きしますが……あなたが予言に示されたクリスタルの精霊ですか!?」
ティズはその女の子の存在に面喰い、精霊は考えるようにぶつぶつと何かを呟く。
「予言……わたしの存在を?それとも…………あ、ごめんなさい!その、いきなり
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