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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第109話 全ての始まりの街
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のだ。最愛の妹、姉を蹴落とす様な事にならなくて良かったと。……幸いにも、彼女達の学業はなんら、遜色なく どちらかが優遇されたり、比べたりされる事は、微塵も無かった。もしも、そんな事になれば、姉妹関係が変わっていたかもしれない。
それが恐ろしくて堪らなかった時期だってある。
いつ、自分が、自分たちが変えられてしまうか……と。
――……環境は人を変える。
彼女達はその事をよく知っているから。
その後も親達の期待には答えながら、囁かな楽しみとして玲奈から美味しいお菓子の話、料理の話、おしゃれの話、など話す事をしてきた。
玲奈は、気さくで友人達も多い。友人としてでも付き合うのは親の言いつけ通りと言われているが、玲奈は明るく優しい性格だから、本人は自覚してないけれど、皆が慕っている。……光には、常に皆が寄り添うもの、だから。
――……でも、明日奈はそうはいかなかった。
長女という立場だって少なからずあったかもしれない。認められた友人とのみの付き合いしか出来ないし、何処か凛とさせたその佇まいは他の人達を疎遠にさせたのだ。恐らくは、容姿からも高嶺の花だと位置づけられたのだろう。……妬む様な声も聞こえなかった訳ではないから。
あの時の自分達であれば、恐らくこの後も全て両親の決めた通りに進んでいくだろう。それは玲奈であったも例外ではない。姉の背中をずっと見てきた彼女だから。
幾ら明るい性格、慕われたとしても 裏切る様な真似だけは絶対に出来なかったから。
……そのまま、両親の決めた相手と結婚をしてしまったら、自分はきっと自分よりも小さなとてつもなく小さく、硬い殻に押し込められて、永遠にそこから出ることが出来ない。
どちらもその想いが胸に留まっていたが、その恐怖心が顕著に現れているのが姉の明日奈だった。
だからこそ、玲奈はSAOの話を、ナーヴギアの話を兄から聞いた時。
楽しそうに話していたその姿を聞いた時、思い切って姉と一緒にやろうと決めた。……小さな世界ではなく、無限に広がっている世界。例え仮想世界だとしても、無限の可能性を秘めているその世界を見て少しでも心に安らぎを持つことができればと。……明日奈自身も、普段見たことのない世界を見てみたい。ただそれだけの気持ちで了承をした。
――……そして、あの日から、少女達は姿を変えた。
明日奈はアスナに、玲奈はレイナに。
見知らぬ街、見知らぬ人々の間に降り立った時の興奮は忘れられるものではないし、鮮明に今でも覚えている。
だけど、あの運命の日。
初めて別世界に降り立ったあの日の内に、全てが変わってしまった。この世界の神らしい者に残酷な現実を突きつけられて。
レイナはずっと後悔をしてきた。
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