別離
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「恐らくは。プレシアさんが今仰ったように、管理局が彼の命を狙うとしたら、魔法を消し去る性質のダークマターを上層部が危険視したからに違いないでしょう。そしてそれを操れる彼の力は、魔法の力を最上位に置く管理局の体制において“あってはならないもの”。故に彼を抹殺し、魔法の絶対性を保持しようとしているのです」
『そんなのおかしいよ! 力に絶対なんて無い、使う側次第で善にも悪にもなるってのに! ……だってさ、これまでの事を思い返してみて? “太陽の使者の代弁者”となっても、私はお兄ちゃんが暗黒の力を使う事を止めなかった。人を滅ぼし、魔を喰らい、太陽とは相反する力なのに、それを使うお兄ちゃんを敵だとは一切思わなかった。同じく暗黒物質を操るイエガー社長……イモータル・ロキは敵だとはっきり感じたのに。同じ力を使っている両者に対する、この感じ方の違いはどうして生まれたのか、それは皆もとっくに気づいているでしょ?』
「その通りだ。僕達が使う魔法とは違って非殺傷設定が存在せず、人を殺す事に特化している暗黒の力を、サバタは皆が生きる未来のために振るってきた。対してイモータル・ロキは人類を破滅に導こうと策を講じてきた。魔法でも同じだ、強盗などの犯罪に使う人もいれば、僕達のように治安維持のために使う人もいる。だから僕達はサバタを脅威とは思えず、P・T事件の時は敵の力を使える暗黒の戦士で僕達の協力者だと報告した。そう、僕達は彼の事を敵じゃないと報告した……そのはずだった。けど残念ながら、上層部は違ったらしい。だからこの件は、彼の事を管理局に知らせた僕達にも少なからず責任がある……」
『つまり今のサバタは以前の私と似たような境遇に陥っている訳だけど、彼の事だからかつての私のようにはならないでしょう。それに本人と接した事のある人は、間違いなく全員この話がおかしいと気づいてるはず。と言っても流石に彼がどんな人達と会ってきたのか、全ては把握できないわ。ただ……私達以外で彼を信じている者がいれば、その人は本人と会っている可能性が限りなく高い。少しでも彼と接した事があれば、彼が指名手配されるような事をするはずが無いと分かるもの』
母さんの説明に私達はすごく納得できた。何が起きてもお兄ちゃんは決して自分の意思を曲げる事が無い。ヴァナルガンドの時も、SEEDの時も、最後まで諦める気は微塵も起こさなかった。それほど強い信念を持って人らしく生きているお兄ちゃんの背中に、私達を始めとした多くの人が惹きつけられた。だから管理局に指名手配された所で、お兄ちゃんの有り方に影響はあまり無いと考えられる。
じゃあ……お兄ちゃんを敵と認識してしまった管理局にいる私達は、これからどう選択するべきなのだろう? 母さんと親子の関係をやり直して、私が幸せを掴めるように……ヴォルケンリッターが闇の書
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