暁 〜小説投稿サイト〜
オリジナルストーリー
情報進機-インフォメイザー-
第0機 zero -戦いの序章-
[10/11]

[1] [9] 最後 最初


「あ、アレはあのままでいいの?」

僕はもはや巨大な漂流物とも言えるような状態になった
骸と化したカメ型の化け物を指さしながら訊いた。
彼女はその質問を想定していたかのようにすぐに答えた。

「それなら大丈夫よ。ほら、あれ見える?」

彼女はカメ型の方向を指さした。そこには先程と同じ様子の‥‥‥いや
よく見てみると、カメ型の身体に異変が起こっていた。
身体が少しずつ分解して、キラキラと光る何かに変わっていっていた。
この光が僕にはどこかで見たことのある何かと同じものに見えた。

「身体を構成していた"タキオン"の管制が無くなったから
 徐々に身体の構成が分解されて自然に還っているの。
 たぶん、明日にはおそらく跡形もなくなっているはずよ」

そうだ、あれは科学の授業で見た変換されていない純粋な"タキオン"の光だ。
純粋な"タキオン"はこの世界に出現するとまず最初に光エネルギーになる。
そして、そのまま地球のエネルギーへと補充されて行くのである。
あれ程の大きさならば、発電所数基分のエネルギー量なのではないだろうか。

「だから、あれについては何も心配することはないわ」

彼女は僕を安心させるためか穏やかな笑顔で言った。
僕は内心ほっとした。こんなのが来ていたことが知れたら
十有市にはテレビ記者等が殺到していただろう。
市内も怪獣の話題で大騒ぎになっていたかもしれない。

「そう言えば、きみ、ずぶ濡れだけど大丈夫なの?」
「へくしゅッ!」

それを聞いて身体が思い出したかのようにくしゃみが出た。
さっきまでの緊張が無くなった途端、急に体が寒くなってきた。
夏が近づいていると言っても、まだ水遊びの時期ではない。
濡れてから少し時間が経った分、体温が奪われたのだろう。

「とりあえず、もう少しだけ我慢してくれる?
 今からあなたを私たちの組織へ案内するから」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥へ?」

僕は矢継ぎ早な展開について行けなかった。
先刻の壮絶な戦いの次は僕を組織へ案内する?
そんな漫画みたいなことがあるのか?
色々考えようとしてみるが頭が全く回らなかった。

「心配しなくても大丈夫よ。ただ順番が逆になっただけだから」

不安げな僕を見て、彼女は言った。
そして、僕の方へと振り向きながら続けた。

「私たちはあなたを組織へ勧誘するつもりだったの。
 でも、予想外な事に随分早くにあなたはこのことを知ってしまった」

彼女は僕の元へと歩み寄って目を合わせて来た。
一見すると穏やかだが、その両目からは何か強い圧力を感じた。
このとき僕は何故か、彼女から目を離すことが出来なかった。

「"篠原 牧人(しのはら まきと)"くん。私たちの組織には
 あな
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ