情報進機-インフォメイザー-
第0機 zero -戦いの序章-
[9/11]
[1]次 [9]前 最後 最初
に沿って
身体の上側だけが傾いていき、川に音を立てて落下した。
下半身もバランスを崩してそのまま川に倒れこんだ。
赤い血が川の中に滲むように広がっていった。
この出血量、おそらく死んでしまったのだろう。
半分になったカメ型はピクリとも動かなくなった。
彼女が発射した物の正体だが、僕の予想では
おそらく今ここにある海水だと思われる。
どういう構造なのかは分からないが、両腕から吸い上げた海水を
胴体に溜め込んで、それを口から高圧力で発射したようである。
さらに、海の底にある細かい岩石の欠片ごと吸引したことで
文字通り"水圧カッター"ともいえる威力を発揮したのだろう。
実際、水に研磨材を添加した状態で噴射することで
鉄筋コンクリートやガラス、ダイヤモンドまでも
切断したり加工することができるらしい。
?ふぅ、終わった‥‥‥‥?
彼女は額を拭うような動作を取ってつぶやいた。
そして、首を曲げて急に僕の方を向いた。
こちらまではかなりの距離があると思っていたが
彼女は10歩ぐらいでここまでたどり着いた。
すると、少しずつ身体が小さくなっていった。
?まったく、どうして逃げなかったの??
僕と同じぐらいの大きさになると
身体を覆っていた外装のような物が剥がれて
中から人間の女の子が現れた。
スタッ
「こんな所にいたら危ないんだよ?」
彼女は腰に手を当てて怒っていた。
先程までの大きさの迫力とは一転して
とても可愛らしい怒り方をしている。
背は僕より頭半分低くて
長めの髪を後頭部で束ねている。
そして、学校の制服を着ていた。
「君は‥‥‥‥一体‥‥‥‥‥‥?」
僕は頭の中が半ば真っ白になっていて
こう訊く事しか出来なかった。
「アレを見たんだよね‥‥‥‥‥しょうがないか‥‥‥‥」
彼女は一回ため息をつくと言った。
「私は"河守 葵"。
この十有市を護っているある組織の一員で
"インフォメイザー"の適合操縦者です」
「い、いんふぉめいざー‥‥‥‥?」
僕の頭には?が飛び交っていた。
今までの15年間でインフォメーション(情報)の単語は
この情報社会の中で飽きるほど聞いてきたが
"インフォメイザー"なんて名称の物は聞いたことがない。
操縦者って事は、あれに乗って操作していた事は分かるが
まるで空間に溶けるかのように消えていったあの現象は
この社会の中でも一度として見たことないぞ。
本当にこの子の言う事を信用していいのか。
僕は動揺している頭を回転させながら思った。
「まぁ、来てみれば分かるから」
「ま、待って!」
そう言ってどこかへ行こうとした彼女を僕は引き止めた。
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ