暁 〜小説投稿サイト〜
オリジナルストーリー
情報進機-インフォメイザー-
第0機 zero -戦いの序章-
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食べると、また違う顔を見せる。
唐揚げの総量は、ケージのカツ丼の上の肉よりやや少ない。
それなのに、肉を奪われたらたまったものではない。

「ぶはーっ、うまかったぁ!」

ケージは箸を器の上に置いてから言った。
僕の方はまだ半分ほど残っている。

「‥‥‥‥食うの手伝ってやろうか?」
「いらん」

この男はどんだけ食い意地を張ってるんだ。
ケージは両手でカツ丼のお膳を持ち上げて立ち上がった。

「じゃあ、先に戻ってるぜ」

返却口の方向に笑顔で歩きながらそう言った。
ようやく、静かに昼ご飯を食べられる。
そう思いながら、僕はコップを取って水を飲んだ。
(ちなみに、水は無料)



    **********



あっという間に時間は過ぎていき
いつの間にか放課後になっている。
今日は何だか時間が経つのが妙に早い気がする。

「じゃあ、また明日な!」

学校の校門を出ると、ケージは僕と反対の方向に曲がって行った。
家まではそっちから言った方が近いとのことだ。
ケージは3人兄弟で、下に小学生の弟と妹といる。
両親は共働きで忙しいらしく、彼が夕食を作っているらしい。
そのため彼は料理が上手く、中学の時も家庭科の授業で
主婦顔負けの、もはや芸術的な料理を作り上げた。
(無論、それもあり評価は5だった)
栄養についてもけっこう考えていて、野菜が足りない日は
野菜サラダを自前で作って持ってくることもたまにあった。
ケージは、学校では馬鹿キャラを貫いているが
それは、家での兄弟の世話に忙しいからで
彼は意外とやればできる馬鹿なのだ(性格は天然バカだが)

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

僕は河川敷の上の歩道をゆっくりと歩いている。
本当は遠回りなのだが、今日は風が気持ちいいので
ゆっくりと帰ることにしたのだ。
家族が待っているなどと心配する必要はない。
何故なら、僕はケージとは正反対で、家族がいないからだ。
どうして両親がいないかもわかっていない。
いつもは特に気にせずに生活しているが
ときどき、今の現状を改めて突き付けられる時がある。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥ハァ‥‥‥‥」

僕はため息をついた。
こういう時は、家に帰る前に河川敷に寄っている。
川からの涼風を浴びていると、何となく落ち着くからである。

「‥‥‥‥あれ?そう言えば‥‥‥‥‥‥」

考え事をしながら歩いていたので気付かなかったが
周りを見てみると、通行人が一人も見当たらなかった。
前に来た時は、沢山とは言わないが、買い物帰りの主婦や
日が傾いた涼しい時間に散歩をするおじいさんなどが
たまに前を通り過ぎていく事があったが
今日は本当に一人も通っていない。

「ん、あ
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