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鎧虫戦記-バグレイダース-
第38話 光の中にたたずむ誰かへ
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アスラは両腕を力強く叩きつけた。

「オレに!!!」



































「えッ!?」

アスラはいつの間にか立っている自分自身に驚いていた。
そして、目の前の光景を見てさらに驚いた。

「ここは‥‥‥‥‥‥‥‥」

見渡す限り緑色の草原、というより花畑に近かった。
しかし、咲いている花々は全く見たことがない。
始めは白い花弁に見えていたが、よく見ると
花のように見えていたモノは全て光の粒だった。
しかも、それは風に吹かれて青空に飛ばされている。
まるで小さいころに見たタンポポの綿毛を
吹いて飛ばした時の光景にそっくりだった。
見渡す限り、光の粒が舞い散っている。
それは、とても幻想的な光景だった。

「あら、お客さん?」

花畑の中から女性の声が聞こえて来た。
その声によってハッと我に返ると
目の前に、いつの間にか女の人が立っていた。
真っ白なワンピースに麦わら帽子。
その服装とは対照的な黒い髪が風に流れていた。
麦わら帽子を上げると、縁の黒い眼鏡をかけていた。
似たような雰囲気の人を知っている気がする。

「こんにちは」

女の人は麦わら帽子を取って、笑顔で挨拶をした。
その瞬間、アスラの目から涙が流れた。

「えっ、あっ、な、何で‥‥‥‥‥?」

突然のことに戸惑いながらアスラは涙を拭った。
アスラは彼女の顔を見ていると、忘れている何かが
心の底から溢れて来るかのように感じた。
やはり、この女の人をオレは知っている。
アスラはそう確信した。

「ごめんなさい、驚かせて。今日はどうしても
 あなたとお話がしたかったの」

彼女は笑顔でそう言った。
そして、一度くるりと回った。
真っ白なワンピースがヒラヒラとはためいていた。

「ここは私があなたと会うことを許された場所。
 お花畑なのは、ここが一番私が落ち着くから♪」

降って来た光の粒を手の平で受け止めた。
暖かくて優しく降り注ぐ太陽の光からは
彼女の雰囲気に近しいモノを感じられた。
この世界と彼女はまるで同じ存在のようだった。

「あの‥‥‥あなたは一体‥‥‥‥」

アスラが彼女にそう訊いた瞬間
僅かに風が強くなった気がした。

「‥‥‥‥‥私は"明日香(アスカ)"。
 あなたと同じ、日本人よ」

アスラはそれを聞いて絶句した。
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