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鎧虫戦記-バグレイダース-
第38話 光の中にたたずむ誰かへ
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「迅も、リオさんも、マリちゃんだって使えるのに
 日本刀でただ斬ることしかできないオレじゃ二人を救えない‥‥‥‥」

悔しさに歯を食いしばるアスラの肩に
リオさんは手を置いた。

「仮に次の瞬間から使えるようになっても
 それが二人を救える能力とは限らないだろ。
 今は俺たちで出来る限りの事をやるんだ」

そして、腕を組んで考え始めた。
迅もマリーもその隣で必死に考えている。
アスラもそれに加わろうとした瞬間だった。


 ガラガラガラガラガラガラガラッ!!!


突然、岩が大きく崩れ出した。
それは、ただでさえ不安定だった岩同士の均衡が
下でジェーンが"音速裂波(ソニックバスター)"を使ったことで
"鎧虫"を粉々にすると同時に、超音波で岩山に刺激を与えて
その安定が完全に崩れてしまったからだった。


――地下――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ガラガラガラガラガラガラガラッ!!

真っ暗闇の中に轟音が響き渡っていた。
しかし、ホークアイの中に不思議と恐怖はなかった。

「‥‥‥おい‥‥お前の歌がヘタクソなせいで
 上の岩が降って来そうじゃねぇか‥‥‥‥‥」

そう抱えているジェーンに話しかけるが
返事をせずにただ力なく倒れていた。

「‥‥‥‥返事ぐらい‥‥‥しろよな‥‥‥‥」

彼は弱々しくそうつぶやいた。
岩が崩れたことで空気がさらに薄くなったようだ。
しかし、彼は表情一つ変えることなくつぶやいた。

「‥‥‥‥最近、お前よく‥‥‥泣いてるからな。
 一人じゃ‥‥‥寂しいだろうし‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

薄い息を吸うとホークアイはつぶやいた。

「‥‥‥‥オレが‥‥‥‥付いて行って‥‥‥‥‥やるよ‥‥‥‥」


 ドサッ
 

その一言を最後に彼は気絶してしまった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「クソッ、リオッ!岩をどかすぞ!!」
「おうッ!!」

迅とリオさんが急いで岩をどかし始めた。
しかし、それは焼け石に水のように見えた。
どけてもどけても、下にあるのは岩ばかり。
二人はかなり素早く動けるが、それでも
崩れる岩の中から二人を救うのは
間に合わなさそうだった。

「クソォッ!!」

アスラは地面に伏せて両手を握りしめ
悔しさに歯を食いしばっていた。

「アスラ‥‥‥‥‥‥」

マリーは迅たちの手伝いに行こうと
声をかけようとしたが、彼の発する雰囲気から
彼女は名前を呼ぶことしか出来なかった。

「オレに‥‥‥‥力があれば‥‥‥‥‥‥」

 ダンッ!!

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