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鎧虫戦記-バグレイダース-
第38話 光の中にたたずむ誰かへ
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隠が木にもたれ掛かっているはずの
方向を見た迅は声を出すことなく目を見開いていた。

「どうしたんだよ迅?‥‥‥‥‥‥まさか」

アスラもそれに気づいて後ろを向いた。
そして、目の前の光景に目を見開いた。

「いない‥‥‥‥‥!?」

木に力なくもたれ掛かっていて
意識もついさっき失ったばかりの葉隠が
いつの間にか姿を消していたのだ。
まさか、気絶したのは演技かと最初は思ったが
さっき斬った傷はまだ再生途中だったはずなので
普段通りに動けるはずがないので、音で見つかるはずである。
しかし、事実姿を消している。

「おそらく、仲間の仕業だろうな」

迅は言った。そう言われてみれば
爆弾を作動させた仲間がいるはずだった。
しかし、それでも二人に気付かないように
葉隠をどうやって移動させたのだろうか。

「でも、今はマリーとリオを起こすのが先だ」

そうだ、穴に落ちて行ったホークアイとジェーンを
一刻も早く助け出さなければいけないのだ。
そのためにはまず人手が足りないのだ。

「行くぞ、アスラ」

そして、二人はそこまで走って行った。



    **********



「痛って!‥‥‥針とは珍しい武器を使うなぁ」

リオさんが針を左足から引き抜いて捨てながら言った。

「今回はオレ達、全然役に立たなかったな」
「まぁ、そう言う時だってあるさ」

迅からの一言にリオさんは
不自然な体勢で寝ていたために
寝違えたのか首を回しながらそう答えた。

「ところで、ホークアイとジェーンの姿が
 全く見当たらないんだが、どこに行ったんだ?」

その問いに関して答えるのをためらっているのか
迅はしばらく口を閉ざしたままでいた。

「うぅ‥‥‥‥頭痛い‥‥‥」

マリーが気分の悪そうな顔をして起き上がった。

「あと‥‥‥お尻が何だかチクチクする‥‥‥」

マリーが自分のお尻を撫でながらつぶやいた。
おそらく、先程の麻酔針によるものだろう。

「アスラ、お尻ケガしてない?」

マリーはアスラにお尻を向けた。
それを見た瞬間、アスラは赤くなった。
ズボンの右側にあいた小さい穴から
肌色が覗いていたからだ。

「あ、穴開いてるから、隠した方が、いいかも‥‥‥」
「え?わっ、本当だ!」

触ってみて気付いたマリーは
顔を真っ赤にして片手で穴を隠した。

「これが刺さってたのをジェーンが抜いたんだ」

アスラはリオさんが足から抜いた麻酔針を見せた。
マリーはズボンにあいた穴が見えないように
アスラと反対にお尻を向けて針を受け取った。

「‥‥‥‥こんなに長いのが刺さってたの?」

マリーの顔が少し青ざめていた
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