セダ、再び
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「あの小娘めっ!どうして、こう、女どもは俺の邪魔ばかりするのだ!ギャルゲーならどんな女も意のままだというのにっ!あの小娘を思い出すだけでも腹立たしい!」
豪奢なソファーに腰を埋めた理知的な顔をした壮年の男神はその顔とは裏腹に、誰が聞いても呆れ返るような文言を吐いて、地面を蹴る。
「落ち着いてください。これは現実のことだから、イレギュラーも出るわ。今回で成功させればいいことでしょう」
「それは、わかっている!」
全く了解できていないにもかかわらず、吠える男神を女神は背後から宥めようとしている。
こんな低能な男神のお守りだけでなく、ご機嫌取りまでしなければならない自分の立場にはもう慣れたつもりだったが、思い通りにならないことが続いて怒りを爆発させる男神にほとほと女神は疲れさせられている。
「今回は成功させる。あのロリ神もいないし、あの小娘は二階で熟睡している。成功しないはずがない!」
怒っていたはずの男神は『神の鏡』を覗き込んで、今度は自分が成功を納めた情景を思い浮かべたのか、上機嫌で言う。
「あ、あー、あっ、あーー」
と、発声練習をするように声を低くしていき、納得する声になると、そばに置いていた色々な細い管が繋がっている兜を頭に装着する。
その兜は馬車馬のようにキュクロプスを働かせて作らせた意識を任意の人間の脳内に飛ばすことのできる神専用の魔道具だ。
それを被った男神がいくところは一つしかない。
「では、行ってくる」
と言うとともに男神の体が電流が巡ったように震えてから、魂が抜けたようにソファーに倒れ込んだ。
その意識を飛ばしたのであろう男神の顔は酷いという言葉では形容しきれないほどに醜悪だった。
目は白目を剥き、半開きの口からは舌が覗いていた。
美丈夫であるだけに、その醜悪さは計り知れないものになっていた。
勿論男神はそれを知らない。
知るものは傍に仕えさせられている女神のみ。
女神は痴態を晒す眼下の男神を明確な嫌悪の色を呈した目で見下す。
その顔を更に酷いものにしたい衝動に駆られるが、それを理性で押さえ込む。
(我慢よ。ここから出られる日まで、ただ我慢すれば、済むのよ)
自分に言い聞かせ、女神は眼前にある鏡、テュールが寝ているはずのベッドに寝ているデイドラが映る鏡を見た。
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