怪狼の顎門
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椿は鉄床の横に無造作に置かれた厚さ一〇セルチの鉄板に目を向けた。
それにつられるようにテュールもそちらに目を向けた。
見た目に何も変わったところのない変哲もない鉄板だったが、よく見ると、その一つの辺に小さな切れ込みができていた。
「――切れ味は手前が作った剣の中で一番なまくらだった」
「………………此奴は前から皮肉れておったからのう」
テュールは刀身に視線を戻して言う。
「その所為でこの剣の特性がわからぬ。まあ、こんな代物が不壊属性でないことはないだろうが、お主の眷族がこれを扱えるか甚だ疑問だ」
と、椿は言った。
椿が疑問に思うことは無理もなく、彼女が聞かされていた情報は、使い手がLv.1の駆け出しの中の駆け出しの冒険者。
使い手に選ばれなかったとは言えど、数多の武器を試し切りしてきた自分に扱えなかった癖者も癖者のこの剣を駆け出しの冒険者が扱えるとは思えないのだ。
「それなら、心配はない」
しかし、そんな椿の疑問の言葉にテュールはニヤリと悪巧みを考えていた子供のような笑みを浮かべた。
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