第12話 怪物との再会
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た。
「おまんが殺ったのかよ?」
くせ毛の男は隙を見せないように銃をその男に向けて身構えた。
「竜馬、無事か」
慎太郎と呼ばれた男がくせ毛の男にようやく追いついてきた。が、そこにある惨状をみると吐き気を催した。
「竜馬?」
上半身裸の男はゆっくりとくせ毛の男に顔を向けた。
「久しぶりぜよ、竜馬」
その男の目はまだ不気味に金色に輝いてはいるがくせ毛の男には見覚えがあった。
「おまん、以蔵か?」
くせ毛の男はいまだ拳銃を構えたまま昔の仲間ではあったが、今はもうまるで化け物に変わり果てた男に言った。
「おまん、生きとったんか?」
「フフフフ、どうかのぉー。死んだといえば死んだぜよ。まぁー、武市先生のおかげかのー?」
男はニヤリと笑った。
「なに?武市さも生きちゅうんか?」
「武市先生は死なんぜよ、竜馬。あの人は不死身じゃ」
その男は狂ったように笑った。
「以蔵、おまん、なんの目的があるんぜよ」
「わしは武市先生の命で動いちゅ。竜馬、もし、おまんが邪魔するちゅんならおまんでも容赦せんぜよ」
男は身構えた。
「慎太郎、後ろで隠れてろ」
くせ毛の男は銃を左手に持ち替え右手に愛刀を持った。
「ウヒヒヒヒヒヒヒ」
以蔵と呼ばれた怪物は不気味に笑った。と同時に風のような速さでくせ毛の男との間合いを詰めた。
くせ毛の男は銃を2発発射した。が、以蔵は刀でその弾丸を打ち落とし、まるで針鼠のような姿でくせ毛の男に襲いかかった。
くせ毛の男は愛刀を振り下ろそうとしたが、以蔵の動きの方が速く首筋に刀の刃をあてられたしまった。
「ククククク、冗談ぜよ」
以蔵は目を大きく見開いているくせ毛の男に笑ってみせた。
「あ、そうだ。おまんにこれをやるぜよ」
以蔵は薬包をくせ毛の男に手渡した。
「なんぜよ、これは?」
くせ毛の男の背中には冷たい汗が流れ出ていた。
「あぁ、これは風邪薬のようなもんぜよ」
以蔵は不気味に笑った。
「化け物と化したおまんのいう事は信用できんぜよ」
くせ毛の男は以蔵をにらみつけた。
「はははは、信じるか信じないかはおまん次第ぜよ」
以蔵は背を向け闇へと消えて行った。
「竜馬、あいつ、本当に以蔵か?」
慎太郎と呼ばれた男がくせ毛の男に問いかけた。
「あぁ、あれは間違いなく以蔵ぜよ」
(武市さ、いったい何をたくらんでいるぜよ)
くせ毛の男は暗雲漂う京の夜空をみつめた。
そう、この男二人の名前は、坂本龍馬と中岡慎太郎。その人達だった。
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