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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン30 鉄砲水と移動砲台と侵略者
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「翔、大丈夫?」
「ああ、今は部屋で寝てるはずだぜ」
「そう……お休み、十代」
「ああ、また明日な」

 エド相手にこっぴどくやられてから戻ってくると、翔がヘルカイザー相手にこっぴどくやられていた。十代の話によると、最後まで一歩も引かずに戦い抜いたらしい。なんでも、受けたダメージがそのまま電流になって体を走るとかいう闇のゲームを科学の力で再現したような変態兵器を用いてデュエルしたらしい。今ヘルカイザーが立っている、そして見据えているその先とやらが僕にはさっぱりわからない。

「ま、人のことばっかり心配してられない、か」

 冷たいようだけど、そもそもヘルカイザーのデュエルをまだ見たことがない僕では何のアドバイスもできやしない。それに、僕だってそろそろ目を背け続けてきた現実に向き合うべき時が来ているのだ。

「………」

 誰もいなくなった食卓机に、自分のデッキを1枚1枚確かめるようにして置く。思えばこのカードにも、このカードにも、僕は何度も助けられてきた。
 だけど、それだけじゃもうだめなんだ。今のデッキのままだと、もうこの学校のペースには付いていけない。今日のエド戦は、それを僕に改めて思い知らせてくれた。組み換えよう、デッキを。水属性で戦う基本コンセプトは変えないままに、よりデッキパワーを高めよう。
 もっとも、そんなにうまくいくなら苦労しない。デッキを組み替えるということは、当たり前だけどこれまで使ってきたカードをデッキから抜くということ。稲石さんのフロストやうさぎちゃんみたいに1枚単位ならともかく、デッキそのものを見直すような改革となるとこれがなかなか難しい。あーでもないこーでもないと考えていると、ふと気づけば夜中の2時を回っていた。

「……ハァ」

 水道水でも飲もうかと、席を立つ。するとその時、2階の方からかすかに何かが動く気配がした。こんなところに入って得する泥棒がいるとは間違っても思えないので最初は気のせいかとも思ったが、もう1度気配がしたのでもしかして島の外から来た人がうちの貧乏っぷりも知らずに物色しに来たのかもしれないと思い直す。とりあえず台所にあった麺棒を掴み、足音を殺してそろそろとドアの前で待ち伏せる。
 数秒後、食堂のドアノブがカチリ、と回転した。ギリギリまでひきつけておいてから、麺棒を振り下ろす!

「せりゃーっ!………あれ、何やってんのこんな夜中に」
「そ、それはこっちのセリフだ!殺す気かお前は!?」

 見事命中する寸前に慌てて手を止める。なぜなら、そこにいたのが万丈目だったからだ。まあでもそりゃそうか、一目見ただけでブルー、イエロー寮と比べても明らかに貧相なこの寮に入る泥棒なんざ初見でもいるわけないね。

「単に水を飲みに来ただけだ。で、お前こそ何やってるんだ?もう2時だ
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