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優柔不断な短編集
妄想恋愛物1 『一目惚れ』
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彼女は俺と同じだったんだ…!


「お、俺も…実はそんな感じなんだ」

「え…?」

「四月に初めて君の姿を見て、その時からずっと気になって、自然と目で追ってて……だから、俺も君と同じ『一目惚れ』……だと、思う………」


 そう言いながら、俺は頭をポリポリと掻く。やっぱりこういうの言うの、恥ずかしいな……


「そうだったんだ……じゃあ、お互い『一目惚れ』同士ということで…」


 彼女はクスリと笑いながらそう言うと、少し気恥ずかしそうに片手を差し出した。


「今後ともよろしくね」

「ッ! あ、あぁ…!」


 俺は慌てながらもそれに対応して、差し出された手を握り締めた。


 こうして、俺と彼女は『彼氏彼女の関係』となった。




















 それから数週間後。


「お待たせ〜!」

「いや、そんなに待ってないよ。っていうか君の方が時間通りだし」

「あ、そうだね」


 そうやって笑顔でやりとりをする俺と彼女。始めの内は敬語が混じったり遠慮がちになっていた会話も、この数週間でだいぶマシになった。今ではお互いのことについて話すようにもなっている。

 そういえば、手伝ってくれた俺の友人。実はあいつ、彼女の仲がいい親友を狙っていたらしい。思い返すとよく彼女と一緒にいるのを見かけるし、俺の友人と彼女と話す時もよく隣にいた。
 なんか「お前を利用させてもらった、悪いな」とか言ってきたから何かと思ったら、そういうことらしい。


 そして今は告白から数週間が経った後、俺達は……初デートに来ていた。

 俺の部活が忙しくて週末は中々一緒に過ごせていなかったのだが、この日は練習が休み。だから少し前から予定を合わせて、初デートにこぎつけられた。
 ………にしても、だ。


「ふ、服装……可愛い、ですね」

「ッ! あ、ありがとう…」


 俺が顔を背けながら言うと、彼女は少し頬を紅潮させつつお礼を言ってきた。
 彼女の服装は、白いワンピースに黄色のカーディガンという、この時期にもぴったりなもの。しかも肩には小さめのカバンがかけられていた。


「は、はやく行きませんか?」

「あッ、そ、そうですね…」


 彼女に急かされ、俺は一歩踏み出す。今日は映画を見に行く予定だ。ジャンルは彼女も好きなスペースアクションだ。
 さぁ今日は初デート、ちょっと浮かれてるが…これが普通だよな。

 ―――と、思っていると、俺の左手が誰かに握られた。
 握ってきた相手は…彼女だった。


「え…?」

「あ、あの…人多いですし、はぐれたら困りますし……ね?」


 あ
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