妄想恋愛物1 『一目惚れ』
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」
「は、はいッ!」
先に沈黙を破ったのは、彼女の方だった。顔を逸らしていた俺は、すぐに直立不動の「気をつけ」をした。あぁ、もうガチガチじゃないか。カッコ悪……
「えっと…えぇっとですね……」
彼女の方はどう言えばいいのか考えあぐねているようだ。
あ〜…焦らしプレイとか俺にはまだ早いって…!
そう思っていると、彼女はゆっくりと頭を下げた。あ〜…やっぱり―――
「わ、私でよければ……よろしく、お願いします…」
―――断られ……ってあれ…?
「え…? い、いいんですか?」
「は、はい…」
「ほ、本当に…いいんですか?」
「な、何度も言わせないでください……恥ずかしい、です……」
「あ、すいません! そんなつもりじゃ…!」
いやでも、可笑しくないか? だって彼女には……
「あの、可笑しな質問で悪いんだけど…好きな人が、いるんじゃ…?」
「……?―――っ!!」
一瞬頭の上に「?」を浮かべたかのように見えたが、すぐにボンッと音を立てるかのように彼女の顔が赤く染まる。
え? これどういうこと?
「……そ、その話…聞いたの?」
「…? 好きな人がいるとは聞いたけど…?」
俺がそう言うと、彼女はさらに顔を赤らめた。もう茹で蛸みたいだ。頭沸騰しそうなぐらいだ。
「―――……なんです…」
「……え…?」
そんな変な感想を抱いていると、彼女が口を開いた。でも最初の方は声が小さく、聞き取り辛かった。
思わず聞き返すような言葉を投げかけると、彼女は「だから!」と声を荒げた。が、すぐに目線を逸らして、小さいながらはっきり聞こえるような声で言った。
「その『好きな人』っていうのは……あなた、なんです…」
―――その瞬間、頭が真っ白になった。
「……………え……?」
「初めて見たのは、テニス部の練習の時……試合形式の練習をしてた時だったかな。最初は真剣な顔をしてボールを打ってたりタオルで顔を拭いてたりしてるのが、カッコいいなぁ、って思って。
でも勝った後に他の皆とハイタッチしたり笑って話すところを見たら、それもなんかいいなぁ、とも思って……それで気づいたら、いつも君のこと目で追ってて…」
試合形式の練習…確か三年生が夏に抜けてからしばらくして、一年の実力を見る為に一度やったな。あれは11月ぐらいだったから、五ヶ月ぐらい経つか……
……で、え〜っと…つまり彼女が言ってるのって、もしかして………
「たぶん、所謂『一目惚れ』ってやつだと……あ、あはは、なんか…言ってて恥ずかしいなぁ、これ…」
ってことは、
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