妄想恋愛物1 『一目惚れ』
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、静かに深呼吸。大丈夫、ちゃんと伝えればいいんだ。落ち着け……落ち着け……
「………」
ふと彼女を見ると、少し緊張した面持ちで俺の言葉を待ってくれていた。大丈夫、彼女はちゃんとそこにいる。素直に…思った通りに……
「お、俺は……あなたのことが、好きです…」
「………」
「あなたに好きな人がいることは知っています。でも……やっぱり言わないままでいるのは、俺にはできないから」
―――こんな俺で良ければ、お付き合いしてくれませんか?
頭を下げて、やっとの思いで言い切った言葉。俺と彼女しかいない教室を反響し、耳に静かに入り込む。
言えた……これでフられても、後悔はない。彼女に本当に好きな人がいるなら断られるし、あわよくば……
しかし、しばらくしても返事の言葉はない。あれ? と思いながら、ゆっくり顔を上げてみた。
「…………」
確かに、彼女はその場を動いてなく、変わらずに突っ立っていた。
たださっきとは違うのは、彼女の顔が耳の先まで真っ赤に染まっていたことだ。
「あ、あの……え〜っと…おーい…」
真っ赤になったまま微動だに動かない状況に戸惑いながら、彼女の顔の前で手を大きく振ってみる。が、彼女は瞬きもせずに目を見開いていた。
さすがにこれはマズくないか? しかし……あと気づかせる方法と言えば直接体に触しか………
……え、えぇい! ままよ!
「あ、あの…!」
「ふぇ! あっ……えっと…え……?」
仕方ないので、直接肩を掴んで揺すり、トリップしてたらしい意識を元に戻した。
意識を取り戻した彼女は顔を真っ赤にしたまま、状況を飲み込もうと慌てふためいていた。
見てるこっちとしては……なんか、かわいい……
「えっと、あの……ちょっと近い、です…」
「ぅえぁ!? あ、ご、ごめん!」
言われて気づいたけど、今俺は彼女の肩を掴んでいて、距離的にはかなり近くにいた。そりゃさすがに失礼だ。
そのことにようやく気がつけた俺は、変な奇声を上げながら手を離した。自分でも予想外の声が出て、思わず手を口に当ててしまった。めっちゃ恥ずかしい…!
そんな俺を見て何を思ったか、彼女はクスリと笑った。
その瞬間、俺の顔が火照っていくのがすぐにわかった。
「な、なんだよ…笑わないでくれよ……」
「あっ、ご、ごめん! そんなつもりじゃ…!」
赤くなった顔を見られたくない一心で、彼女から顔を逸らしながら言うと、彼女は慌てたように否定してきた。
その後は二人して何も言えず、沈黙が続いた。くそぉ…早く収まれよ、顔の火照り…!
「あ、あの…いいですか?
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