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魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
99話:力の意味とはなんなのか
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か?」
「い、いえ…そんな……」


 正直思った。ティアナが―――否、その場の全員がそう思った。
 あれだけの力がある人が、隊長達が言う程の力がある人が。


「そんな大それたこと、したくてもできねぇよ。結局のところ、俺にできるのは『破壊する』ことだけだからな」


 そんな事はない、少なくとも自分達を救ってくれた。
 全員が口にしなかったが、心の底からそう思っていた。


 ―――ある者は自らの死の恐怖から、

 ―――ある者は独り身という絶望の縁から、

 ―――ある者は一人だけの孤独から、

 ―――ある者は温もりを知らぬ身から、


 それでも、彼は自分のできる事は一つだけだと語る。
 エリオはふと、ヴィータに聞き込みをした時の事を思い出した。


『一人の人間にできる事は、何時だって一つだけなんだ』


 自分に速さという得意分野があるように―――この人にとっては、『破壊』というのが得意分野なのか?
 しかしそれでも、自分を…自分達を救ってくれたことには変わりない。その思いは、変わりようがないのだから


「だから俺がやることは今も昔も変わらない、俺の敵を―――『破壊』するだけさ。その為の力(ディケイド)だ」


 そういう士の瞳は若干下を向き、表情は少しだけ柔らかくなっていた。それを見たフォワード四人は、なんとなく気づいた。

 今言ったことは真実だが―――全てではない、という事を。

 まだ四か月程の付き合いだが、なんとなく……根拠はないが、四人はそう思った。


「……ほら、話したんだからサッサと帰って寝ろ!」
「は、はい!」
「失礼しました!」


 士の言葉で、四人は一度敬礼してから副部隊長室を出た。
 そしてしばらく歩いた後、最初に口を開いたのは、スバルだった。


「なんか…思ってたより重い感じがしてたけど…」
「何の為の力か、その力で何を成すか、か……難しいけど、きっと大切な事なんでしょう」
「はい! 私達も私達の力の意味≠…」
「見つけて見せます!」


 そう決意を新たにし、四人は療へと戻っていく。
 士に出された宿題は答えを出せなかったが、それでもいつかはその答えを出さなければならない。魔法という力を持つ者として。

 そう決めた四人、スバルは「頑張るぞ〜!」と拳を突き上げる。キャロとエリオも揃って拳を突き上げ、ティアナも拳を上げないものの笑顔を見せた。


 かくして、四人の心の隅にまた新たな課題が残された。その答えを導き出すのは、一体いつになるのか……





 
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