暁 〜小説投稿サイト〜
蒼翠の魔法使い
Episode 2:metamorphosis―豹変―
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
立つことができた。
 ゆっくりと立ち上がり、膝に付いた砂をパタパタと落とす。
「おっ、来るか? やっぱ俺無しじゃいられねぇーってヤツか?」
 柚夜がバカみたいな事をほざいている。
 そんなわけ無い。全く無い。皆無(かいむ)だ。
 右手には、思いっきり力を込めた拳をつくり、ゆっくりと近づいていく。
「お前さー、処女だろーけど、優しくしねぇーからな。俺さ、激しい方がいいからよー」
 脚に力を入れて、地面を蹴る。
「うわぁぁぁっ!!」
 悲鳴が混じった声であたしは叫びながら、柚夜の顔面めがけて拳を突き出す。
 見事に顔面に命中した。
 あたしのパンチを受けた柚夜は、フラフラ蹌踉(よろ)めいた後、しりもちをついた。
 おそらく、不意打ちだったからここまでくらったのであろう。
「いってーな!  ちょーしにのんなよくそが!!」
 今まで被っていた仮面が完全に剥がれた様に、柚夜のあたしに対する態度が一変した。
「優しくしてやってりゃあよ! ふざけやがって!!」
 柚夜は立ち上がるとあたしの髪を掴み、殴りだした。
 殴られる。殴られる。殴られる。
 殴られる(たび)に頬が痛む。
「痛いっ! やめて! ごめん! ごめんなさい!!」
「はぁ!? ふざけんな!! 人を殴っといて『ごめんなさい』で済むと思ってんのか!? あぁ!?」
 そう怒鳴りつけると、あたしを地面に叩きつけて、顔、身体(からだ)を蹴り始めた。
 頭、胸、腹、脚、背中、(いた)る所を激しく蹴られる。
 何であたしがこんな事をされなきゃいけないんだろう? 悪いことをした? それとも――
 次の瞬間、頭にガツンと衝撃が走った。そして、あたしは意識を失った――。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ