Episode 2:metamorphosis―豹変―
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立つことができた。
ゆっくりと立ち上がり、膝に付いた砂をパタパタと落とす。
「おっ、来るか? やっぱ俺無しじゃいられねぇーってヤツか?」
柚夜がバカみたいな事をほざいている。
そんなわけ無い。全く無い。皆無だ。
右手には、思いっきり力を込めた拳をつくり、ゆっくりと近づいていく。
「お前さー、処女だろーけど、優しくしねぇーからな。俺さ、激しい方がいいからよー」
脚に力を入れて、地面を蹴る。
「うわぁぁぁっ!!」
悲鳴が混じった声であたしは叫びながら、柚夜の顔面めがけて拳を突き出す。
見事に顔面に命中した。
あたしのパンチを受けた柚夜は、フラフラ蹌踉めいた後、しりもちをついた。
おそらく、不意打ちだったからここまでくらったのであろう。
「いってーな! ちょーしにのんなよくそが!!」
今まで被っていた仮面が完全に剥がれた様に、柚夜のあたしに対する態度が一変した。
「優しくしてやってりゃあよ! ふざけやがって!!」
柚夜は立ち上がるとあたしの髪を掴み、殴りだした。
殴られる。殴られる。殴られる。
殴られる度に頬が痛む。
「痛いっ! やめて! ごめん! ごめんなさい!!」
「はぁ!? ふざけんな!! 人を殴っといて『ごめんなさい』で済むと思ってんのか!? あぁ!?」
そう怒鳴りつけると、あたしを地面に叩きつけて、顔、身体を蹴り始めた。
頭、胸、腹、脚、背中、至る所を激しく蹴られる。
何であたしがこんな事をされなきゃいけないんだろう? 悪いことをした? それとも――
次の瞬間、頭にガツンと衝撃が走った。そして、あたしは意識を失った――。
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