第五章
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「だから絶対に助け出さないとな」
「じゃあね」
「神様にも仏様にも力を頼むぞ」
「お願いして」
「わしはそうする」
正蔵はもう決めていた、神仏に祈り願うことも。
「これからな」
「じゃあ私も」
侑枝もだ、夫の言葉に頷いてだった。
そしてだ、こう言ったのだった。
「一緒にね」
「やってくれるんだな」
「そうでもないと助けられないみたいだから」
近高さん夫婦の娘さん、他の攫われた人達がというのだ。侑枝も人の力ではどうしても足りないと感じていたのだ。
それでだ、こう夫に言ったのだ。
「一緒にお願いしよう」
「よし、じゃあお願いして回るぞ」
「そうしようね、二人で」
こうしてだった、正蔵は侑枝と共に家業の農業をしつつだ。拉致被害者を救う為にあらゆる行動をした。それと共に。
暇を見付けては神社や寺に通いだ、そのうえで。
祈り願いだ、それを続けて。
何時しか何年も続けていた、その間動きは何もなかった。だがそれでもだ、正蔵は侑枝に強く言うのだった。
「諦めないことだ」
「こうしたことはね」
「ああ、わし等の働きだけでなくな」
「神様と仏様にお願いをすることも」
「続けることだ」
何年も続けているがこれからもというのだ。
「そう簡単に成ることじゃないからな」
「そうね、あの国から人を救い出すことだから」
「続けるんだ」
祈り願うこともというのだ。
「このままな」
「わかってるよ、やっていこうね」
「二人でな」
こう話してだった、そのうえで。
二人は必死にだ、働き祈り願い続けた。何年経っても動くことはなかったがそれでもだ。ただひたすら続け。
その間遂に二人も農業を息子夫婦に任せる様になった、家業は隠居となった。だがそれでも二人は拉致被害者達の為の行動を続け。
神社や寺を巡って祈り願い続けた、近高さん夫婦も歳を重ねていっていた。そのまま誰もが老いてやがてはと周りが思った時だった。
不意にだ、正蔵は夜に居間で家で風呂上りに茶を飲んでいるとだ。テレビを観ていた侑枝が来てこう言われた。
「ちょっと、凄いことになったよ」
「どうしたんだ?」
「総理があの国に行くらしいんだよ」
「えっ、嘘じゃないのか!?」
その話を聞いてだ、正蔵は最初信じなかった。
「あの国とは国交がないんだぞ」
「それでもね」
「行くっていうのか」
「そう、だからね」
「ひょっとしたらか」
「近高さんの娘さんのこともね」
「わかるかも知れない、そして」
正蔵は考えを巡らせつつだ、そこから希望を導き出して言った。
「戻って来るかも知れないんだな」
「ひょっとしたらね」
「そうか、ひょっとしたら」
「そう、凄いよね」
「凄いなんてものじゃない、じゃあな」
それならと
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