暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第99話 神聖剣 vs 二刀流
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ヒースクリフを視ずにキリトにコンマ数秒意識が集中していた。

 リュウキとて、ネットゲームにおいては、負けず嫌いな所も勿論ある。だが、これまでのゲームでは自分に匹敵するどころか、やり合える相手すらいなくトップに君臨していた。だが、この時キリトを視て、そしてヒースクリフを視て……触発されてしまったのだろう。少しだけ、自分でも気がつかないと思うが、目が輝いていたのだ。


 キリトの剣閃はヒースクリフの盾に襲い掛かり、上下左右……縦横無尽に襲い掛かる。僅かずつだがヒースクリフの反応が遅れているようだ。

(抜けッ!)
(抜けるッ!!)

 キリトとリュウキはほぼ同時にそう考えた。2人の意識はまるでシンクロしているかのようだ。キリトの最後の一撃がガードをついに超える事を……確信した。あの攻防が見えたものであれば十人中全員がそう思うだろう。その通り、盾が右に振れたその瞬間を逃さず、左から剣を振り下ろす。
その一撃が当たれば……確実にHPの半分を切り勝敗が決するだろう。

 だから、リュウキ自身もキリトの勝利を疑わなかった。

 が、この時 ありえない事が起きた。

「ぬッ!?」

 思わずリュウキも唸り声を上げる。なぜなら、……あの瞬間、世界がブレたからだ。それは、他者にまで見えるほどに……明らかにブレた。強者同士がぶつかり合う時に、時間軸がまるで矛盾する事は希にあると言われているが、それは互いの体感時間であって、他人が感じる様な事は無い。
 
 そのありえない事、……言うならば、キリトの速度はそのままだった。否、キリトの速さは今日一番のだと言える。だが、まるで、その速度を無理やり止めた……、ボタンを軽く押して、キリトを一時停止したかのように止まったのだ。

 そしてキリトは……世界は止まっている筈なのに、ヒースクリフは動ける。止まっていると感じているのに、その中で1人だけが動けていた。

 その刹那の時間。

 リュウキはレイナやアスナの2人を視た。手に汗握る試合だったから、身を乗り出さんばかりに見ていた2人でさえ時間が止まっているようだった。
 それはまるで、時が止まった世界。

 ……それなのにあの男だけが動ける。キリトも、その剣も止まっているから後は簡単だ。その剣の軌道上に右に振れた盾を置けばいい。ならば、自分から当ててくれる。

 長く長く感じたがそれは本当に一瞬。刹那の時間。時の矛盾を感じながらも、勝負は決すると言う読みは当たった。


 ただ……、違ったのは その決闘の勝者だけだった。


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