第三章
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「そうします」
「何っ、『はし』を渡ってはならんぞ」
「ですから『端』を渡りません」
「ではどうして渡るのじゃ」
「『橋』の『端』を渡らず」
そこではなくというのです。
「その真ん中を進みます」
「何と、『橋』の真ん中をか」
「『はし』を渡ってはならないのですね」
「そうじゃが」
「では『端』は渡りません」
こう言ってでした、一休さんは『橋』の真ん中を堂々と渡ってしまいました。これには将軍様も脱帽でした。実際に烏帽子は脱ぎませんでしたが。
「参った、余の懇親の悪戯がのう」
「あっさり抜けられましたな」
「やりおるわ、一休」
将軍様は一休さんの頓智を認めるしかありませんでした。
「これは凄いわ、しかしな」
「そのお寺ではですな」
「こうはいかんぞ、何しろ都におる千年狐に頼んだのじゃ」
将軍様はその狐とお知り合いなのです。
「九本尻尾の霊狐にな」
「また妙なお友達ですな」
「近衛殿に紹介してもらった、この世におるのは人だけではない」
「ではその狐がですな」
「本尊の一つに化けておる」
「では用意には」
「わからんぞ、さて一休どうする」
その橋を堂々と渡る一休さんを見つつ言うのでした。
「次はこうはいかんぞ」
「全く、そこまでされますか」
「こうでもしないと参るわ」
政と鍛錬、学問ばかりで楽しむ暇がないからです。
「これも楽しみじゃ」
「全く、上様少しは真面目にです」
「しておるぞ、これでも」
「悪戯が過ぎます」
「これ位よいではないか」
悪戯は大掛かりでもです。
「そうであろう」
「やれやれですな」
親当さんも将軍様の悪戯好きには困るしかありませんでした、そうしたお話をしているうちにそのお寺に着きました。
すると確かにです、本堂には仏像が二つあります。二つ並んだそれは本当にどちらが仏像かわかりません。
ですが一休さんは平然としてです、親当さんに言うのでした。
「お腹が空きませんか」
「お腹が」
「はい、そうではないですか」
「そういえば」
「では何か食べますか」
「うむ、余も腹が空いた」
将軍様も言うのでした、そのうえでお供のお侍さん達にも尋ねました。
「その方達もじゃな」
「はい、実は」
「少し」
「そうじゃな、では寺の坊主達に何か出させよう、その分は後で余が出す」
お金をというのです。
「飯と酒じゃ、精進ものを持って参れ」
「お寺だからですな」
「一休も食うからのう」
お坊さんである一休さんもだからというのです。
「出そうぞ、酒も持って参れ」
「では」
親当さんが応えてでした、そのうえで。
すぐにでした、将軍様は本堂においてお豆腐やお味噌、御飯にお漬けものにです。お酒とお茶、それにぼた餅を持って来てもらって
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