第二章
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「まああれじゃ」
「あれじゃとは」
「わしは退屈じゃからな」
それでとです、その親当さんに言うのでした。
「少し悪戯を考えておる」
「またですか」
親当さんは将軍様のそのお言葉に呆れた顔で返しました。
「上様は将軍ですから」
「慎めというのじゃな」
「また管領様に諫められまするぞ」
「これ位はよかろう」
親当さんに眉を曇らせて返すのでした。
「別にな」
「悪戯はですか」
「そうじゃ、とかく政に学問に鍛錬にと忙しい」
将軍として、というのです。
「だからほんの些細な悪戯位はな」
「上様の場合はです」
「そのほんの些細なものがか」
「強いのです」
そうだというのです。
「お戯れが過ぎます」
「ううむ、しかしのう」
「そうまでしないとですか」
「余は退屈じゃ」
政と学問、鍛錬の間がというのです。
「実にじゃ」
「では一休さんにも」
「まあ子供じゃ、軽くしてやるわ」
こう笑って言ってでした、将軍様は一休さんをわざわざ花の御所にお呼びしてです。そのうえで尋ねました。
見れば一休さんはまだ幼さの残る小坊主さんです、お坊さんの服が似合っていて頭は当然剃っています。
その一休さんにです、将軍様は尋ねました。
「御主が一休じゃな」
「そうです」
「そなた、随分と頭が良く知識もあるそうじゃが」
「いえ、それ程でも」
「謙遜はよい、とにかく余はそうl聞いておる」
だからだというのです。
「だからな、少しそなたのその頭のよさを試したくなってのう」
「私のですか」
「受け答えはよい」
もうそこに一休さんの頭のよさが出ているというのです、将軍様もそうしたことはすぐにわかるだけの眼力があります。
「噂通りじゃな、しかし余はそれで満足はせぬ」
「ではこれから」
「さて、実はこの都にじゃ」
将軍様は実に楽しそうにです、一休さんに言うのでした。
「一つ厄介なことが起こっておってのう」
「厄介なこととは」
「ある寺の本尊の仏像が急に二つになったのじゃ
「仏像がですか」
「そうじゃ、面妖なことにな」
こう将軍様は言うのでした。
「どっちかは本物じゃがもう片方は偽物じゃ、何かが化けておるかもな」
「私にそれを確かめて欲しいと」
「そうじゃ、出来るか」
こう一休さんに言うのでした。
「これから」
「わかりました、ではそのお寺に案内して下さい」
すぐにです、一休さんは将軍様に明るく答えました。
「これより」
「ではな」
こうしてでした、将軍様は一休さんを連れて親当さん達と共にそのお寺に向かいました。そこでなのでした。
ある橋の前に来てです、親当さんはやれやれといったお顔になってそれで将軍様に対して尋ねたのでした。
「全く、この橋にですか」
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