第六章
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「じゃあいいな」
「回転砲塔も使って」
「そうしてでも」
「敵を退けてだ」
そして、というのだ。
「逃げるぞ」
「基地まで、ですね」
「そうしますか」
「流石に敵が三機、しかも下から撃ってきてますし」
「仕方ないですね」
「俺が何で名パイロッかだ」
こんなこともだ、ブロッサムはエリックとクローリーに言った。
「それはどうしてかわかるか?」
「生き残る能力が高いから」
「だからですね」
「そうだよ、こんな状況でもな」
三機の敵機に追われてしかも下から高射砲や対空砲の攻撃を受けている、相当に危ない状況であるのは確かだ。
「生き残ることが出来るからな」
「だからですね」
「ここは、ですね」
「中尉のその腕の見せどころですね」
「生き残るテクニックを」
「ああ、見せる」
絶対にとだ、こう言ってだった。
ブロッサムは後ろから、そして下からの攻撃をかわしていった。そのうえで二人にはこう言ったのであった。
「回転砲塔とレーダーはな」
「はい、チェックしてます」
「そっちは任せて下さい」
「操縦は俺がやる」
他ならぬ彼自身がというのだ。
「そっちでサポートを頼むな」
「はい、それじゃあ」
「中尉はそっちをお願いします」
「そういうことでな、行くぞ」
見ればだ、実際に砲塔は三機の戦闘機を撃って牽制していた。それで倒せないまでも的確に退けていた。
そしてだ、そのうえでだった。
ブロッサムは下からの攻撃が繰り出される中を全速力で進んだ、至近弾も来たがそれに臆することなくだった。
進んだ、そして言うのだった。
「当たらなければいいんだよ」
「結構危ないですけれどね」
「それでもですね」
「こっちは全速力で飛んでるんだ」
「それに当てるとなると」
「難しいですよね」
「相手もな、しかもやっぱりな」
ブロッサムは下からの攻撃にはこんなことを言った。
「攻撃の数が少ないな」
「ですね、昔よりも」
「攻撃が少なくなってますね」
「やっぱりこれまでの戦いで」
「高射砲や対空機銃も減ってますね」
「ああ、これが一年位前だとな」
その頃のドイツ軍ならというと。
「こんなものじゃなかった」
「全然、ですね」
「もっと酷いものでしたよね」
「そうだ、俺じゃないとだ」
自信は見せるのだった。
「死んでたな」
「けれどこの状況で」
「しかも中尉だからですね」
「かわせる」
「そういうことですね」
「ああ、後ろの連中はどうだ」
その三機の夜間戦闘機達はというと。
「まだ来てるか」
「はい、まだ」
「しつこく来てます」
そうだとだ、二人はブロッサムに答えた。
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