第五章
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「違うよな」
「確かに殴らないといけない場合があっても」
「暴力は違うだろ」
「桑田が言ってるのは暴力だよ」
「あの鬘野郎精神論だけだな」
「考える力がないんだろ」
こう言うのだった、桑田の意見を聞いた者達は。
「それで才能やる奴が野球から離れたら損失だからな」
「怪我をする場合あるしな」
「学校だと先公が生徒に好き勝手暴力振るうけれどな」
「桑田の言う通りだよ」
その暴力はというのだ。
「それで部活辞めたらアウトだろ」
「野球でも何でもな」
「日教組の強い学校程暴力凄いけれどな」
「それは間違ってるだろ」
「体罰じゃなくてよく言って聞かせる」
「相手と向かい合ってな」
「殴って済ませずにじっくりと話す、か」
これが桑田の主張なのだ、真の意味で野球を理解し愛している者達は彼の言葉に深い感銘を受けた。そしてだった。
桑田の主張に喝采を以て応えた、そのうえで言うのだった。
「桑田が正しいよ」
「練習や試合中に水分摂れっていうのも正しいよ」
「まずは身体を大事にしてスポーツをしろ」
「水分補給にも」
「そういうことだな」
このことも桑田の言う通りだと思うのだった、そのファン達の中で桑田が毎日走っていたグラウンドを見たそのファンは今も共にいる友人に言った。
「あの道に出ていたな」
「グラウンドのな」
「ああ、桑田って人がな」
まさにその出来ていた道にというのだ。
「毎日地道に走っていた」
「真面目にな」
「スポーツはまず走ることだからな」
「足腰鍛えて体力備える」
「そこからだからな」
桑田は毎日それを熱心にしていた、まさにそれがというのだ。
「変な筋トレとかしないでな」
「まずは走ること」
「そこからだしな」
「野球も」
特にピッチャーはだ、その走って出来た道がだったのだ。
既に桑田を表していた、そうだというのだ。
それでだ、そのファンは言った。
「凄い野球人がいるな」
「ああ、桑田はそうだな」
「最初はあんなにマスコミに叩かれていたのにな」
「実際の桑田がわかると」
「あれだよ、マスコミが幾ら叩いてもな」
私情だのを交えてだ、そうしてもというのだ。
「その人の本質はわかるものさ」
「やがてな」
「そうだよな、桑田にしても」
「桑田はいい野球人だよ」
「この上ないな」
それが彼等が道に見た桑田真澄だったのだ、そのグラウンドの道はもう元の芝生に戻っている。しかし彼が走ったその道は残っていた。真に野球を愛する者達の心の中に。
ロード 完
２０１５・３・２５
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