第七章
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「来るなんてね」
「それでその僕にだね」
「ええ、あくまでお店にいる間だけだけれど」
「メイドさんでいてくれるんだね」
「そうさせてもらうわ、じゃあご主人様」
彩奈はにこりと笑って夏樹をこう呼んだ。
「何なりとお申し付け下さい」
「そうだね、じゃあ色々とお店のことを聞きたいな」
「わかりました」
「それでお店の遊びを一緒に楽しもう」
「畏まりました、ご主人様」
彩奈はメイドとして夏樹に仕えるのだった、店の中だけのことではあっても。その彩奈のご主人様になった次の日大学でだ、夏樹は友人達に話した。
「またあのお店行って来たけれど」
「おいおい、その虐めっ子がいるお店にか」
「行ったのかよ」
「虐められなかったよ、というかね」
笑ってだ、夏樹は笑って彼等に話した。
「ご主人様になったよ」
「へえ逆にか」
「御前がご主人様になったのか」
「逆に」
「そうなったんだな」
「お店の中だけのことだけれどね」
それでもというのだ。
「今は僕がご主人様だよ」
「虐められっ子からご主人様か」
「そして虐めっ子がメイドか」
「これまた凄い変わり様だな」
「逆転したじゃないか」
「そうだね、世の中面白いよね」
夏樹はくすりと笑ってこうも言った。
「関係がこうまで変わるんだから、だからね」
「またあのお店行くんだな」
「そうするんだな」
「そしてまたご主人様になってくるよ」
夏樹は友人達に笑顔のまま話した。
「あの娘のね」
そして実際にだ、夏樹は度々その店に行ってだった。その都度彩奈を指名した。そして彼女のご主人様になるのだった。子供の時とは違う二人の関係だけでなくだった。
その彩奈のメイド姿と成長した顔を見てだ、にこにことして言った。
「可愛くなったね」
「お世辞ですか?ご主人様」
「違うよ、素直にそう思ったんだ」
「そうなのですか」
「あの時とはそうしたことも変わったね」
「そう仰るご主人様も」
「いや、普通でいいよ。二人きりだし」
店の中でというのだ、指定した席での会話だ。
「普通でね」
「じゃあ奥沢君もね」
彩奈はその彼の言葉を受けて素で返した。
「変わったわよ」
「そんなに?」
「あの時は小さかったのに、私より」
それが今ではというのだ。
「私よりずっと大きくなって女のこみたいだったのが」
「それもなんだ」
「男の子になったからね」
「僕も変わったんだ」
「お互いね、あの時とはそうしたことも違うわよ」
ただご主人様とメイドになっただけではないというのだ。
「私も奥沢君もね」
「そうなんだね」
「そう、お互いね」
彩奈ににこりとして話したのだった、そうしてあらためてだった。彩奈は夏樹にこうも言った。
「そういうことです、
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