第三章
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「あの、まさか」
「何でしょうか、ご主人様」
「君ひょっとして花江彩奈さん?」
「?そう言うご主人様は」
メイドの娘の方も言って来た。
「奥沢君?奥沢夏樹君」
「そうだけれど」
「あれっ、何でここにいるの?」
「それはこっちの台詞だから」
夏樹は質問に質問で返した。
「何でここにいるの?」
「何でって私ここの店員さんよ」
「嘘・・・・・・」
「嘘じゃないわよ」
夏樹の疑念はこの言葉で完全に打ち消された。
「ちゃんと雇ってもらってるわよ」
「まさかこんなところで」
「会うとはね」
「うわ、大変なことになったよ」
顔に完全に出してだ、夏樹は言った。
「こんなところで会うなんて」
「こんなところでって言うけれど」
「いや、ちょっと」
「ちょっとも何もないでしょ」
彩奈は驚き慌てている夏樹とは正反対に平然としている。その平然とした態度で夏樹に言葉を返したのだった。
「夏樹君はご主人様よ」
「花江さんの」
「花江さんじゃなくてメイドのアンジェリーナよ」
店での名前を言うのだった。
「宜しくね」
「アンジェリーナって」
「お店の中ではそういう風になってるから」
「そうなんだ」
「じゃあアンジェリーナでね」
「呼べっていうんだね」
「そう、それで夏樹君はね」
当の彼はというと。
「ご主人様だから」
「奥沢さんの」
「だからアンジェリーナよ」
彩奈は名前は訂正させた。
「お店の中ではね」
「それじゃあ」
「あらためて。いらっしゃいませご主人様」
ぺこりと頭を下げてだ、彩奈は夏樹に挨拶をした。
「ではこちらに」
「うん、それじゃあ」
夏樹は彩奈の言葉に頷いた、そして一緒に店に来た案内してくれた彼も含めた友人達と共に店の中に入ってだった。
そしてだ、案内された席に皆で座って注文してからだ。彼等にあらためて言った。
「こんなことになるなんてな」
「その子供の頃虐めてた虐めっ子か」
「あの娘が」
「あの娘が御前をいじめてたんだな」
「もう毎日みたいに」
「そうだったんだよ」
まさにというのだ。
「あの娘に」
「話は聞いたけれどな」
「それでもな」
「まさかな」
「まさかここで出て来るなんだな」
「確かに予想外だったよ」
「傍から見ても」
友人達もだ、彼に言うのだった。
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